大阪教育大学 「地球と災害」2021 関連ページ 2021年10月6日 開始

02/02 第15回 気候変動 隕石衝突ほか

最終の今日の授業動画のアドレスです
https://youtu.be/0kKDDg43zP8

幾つか,コメントを読んでいて勘違いされていることに気づきました.特に気候変動の地球温暖化問題は重要なので,再度注意点を述べます.

氷河期の気候変動は気温がCO2をドライブしているらしい.というのは南極のアイスコアやそれによる気候変動の見積もりが「ミランコビッチ」サイクルと相関することから推定されています.
しかし現在の地球温暖化は,あきらかにCO2が気温に先行して上昇している.つまり上記の氷河期の気候変動とは別の次元で,人間が産業活動で排出した多量 のCO2が温暖化を招いているというのが明らかだというころです.従ってそれは現在の温暖化を止めるすべがないのではなく,むしろCO2の放出をやめるこ とが,温暖化の防止につながるという議論になります.そのあたり「地球温暖化懐疑派」がよくCO2の排出を止めるのは馬鹿げていると昔主張したあたりの議 論と混同しないようにしてください.

あと別の質問では,隕石の衝突は1ヶ所であり,どうして世界中にいた恐竜がその衝撃波で死んだのかという質問がありました.これも大いなる誤解です.たし かに直撃を受けた場所から半径数1000kmの範囲では直接の,衝撃波,火炎,破片の落下などで直接的に死んだ恐竜も多かったはず.しかし地球の裏側では そういった直接の衝撃ではなく,むしろそのあとの多量の塵による日射の遮断,寒冷化など,隕石衝突の間接的な影響が大きかったと考えれられています.これ を「隕石の冬」(Impact Winter)と読んだわけです.そのあたりも早とちりしないようにお願いします.

映画「デイ・アフター・トゥモロー」は映画の批評サイトでの評価は低いですが,科学的な検証はかなりきちんとされていて, 特に寒冷化の原因となる大西洋北部の急激な気温の低下あたりの描写がとてもよくできています.冒頭のあとに続くシーンで英国のある海洋観測所で,海洋ブイ の温度が急激に低下するシーンがでてきます.そのとき実は観測所員はTVのサッカー中継を見ているのですが,これがユニドームをよく観ると,マンチェス ター・ユナイテッドとかつて中村俊輔,今は古橋,前田が新加入したセルティックの試合です.2つのチームはプレミやリーグとスコットランドリーグで別です から,この試合はリーグに関係のない欧州のカップ戦なのだろうと推定されます.そういった細かい描写までとてもよく作り込んでいるので,ぜひ何かでご覧く ださい.

最後の方で述べた,ジャイアントインパクト説の提唱者ハートマン先生とのいきさつは下記の記事に描きました.また訪問の巡検記(PSI)もあります.ご笑覧を.

岡本義雄:英語で地学の授業を行う試みPart2 -ある火星年代記-,附属天王寺中・高研究集録No.58,117-141,2016
岡本義雄:「クレータ年代学」を高校生と楽しむ -Hartmann Diagramを用いた火星表面年代測定-,日本地学教育学会広島大会講演予稿集,2011
2011年 AGU Fall Meeting San Fransisco + PSI (Tuscon)

気候変動関連の参考文献.古いものも入る

全地球凍結(集英社新書)https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0209-g/

歴史を変えた気候大変動 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309463162/



01/26 第14回プレートテクトニクスの補遺,生物大量絶滅,気候変動

今日の授業動画は下記です.限定公開で公開します.SNSなどにはアドレスを流さないでください.次回最終回も録画する予定です.
https://youtu.be/CnrUndd1hGs

あと,関連で磯崎さんの研究の紹介で,岐阜県鵜沼の河原の赤いチャートの地層を見せました.南大阪にはあまりはっきりしたチャートの見つかる地層はないのですが,
大学のすぐ北の大和川にある柏原親水公園の前の河原(国分駅から歩いて5〜10分)で採れるチャートの紹介動画がありました.
以前に中学校の理科の先生の研修用に作ったものです.こちらも参考にしてください.こちらも限定公開です.
https://www.youtube.com/watch?v=qP5uwjOsPTw
ついでにその時に作った.火山岩関係の動画です.いずれも大和川親水公園そばの河原で見れるものです.
大和川河原の周辺の地質の説明
https://youtu.be/oLV0O2pjKs0
大和川の河原でみれる火山岩について.その1
https://youtu.be/rS3mNh0b8k8
大和川河原での安山岩と玄武岩の見分け
https://youtu.be/jHeEPiAGZco
人工物と岩石の見分けなど
https://youtu.be/vXp8Z9gJTfw
他にもありますが,興味があればメールをください.

プレートが分かれる場所にある島国はアイスランドです.英国の隣のアイルランドではありません.(コメントで間違っている人がいました)

授業は詳しく説明ができなかった点について(昨年のページより2つ引用します),

バージェス動物群について,
バージェス動物群はこれだけで,1コマ分の話になります.詳しくは私のバージェス巡検記をご覧ください.
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/CANADA/Burgess/index.html

この生物の化石は偶然見つけられたものです.しかもその貴重な発見された化石は最初の発見者がその貴重さに気づかずに,長い間スミソニアン 博物館の倉庫に眠っていました.それが偶然1980年台に三葉虫の化石の専門家Wittingtonと彼の指導する2人の大学院生によって再発見されるの です.その詳細は下記にまとめました.興味のある人は一度ご覧ください.
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/CANADA/burgess_trip.html

また上記発見物語は,米国の有名な古生物学者グールドが一般向けの本に書いています.
https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/90236.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95_(%E6%9B%B8%E7%B1%8D)
この本もおすすめですが,Amazonでは古本しかないようです.さらになぜグールドがその後絶滅したこの奇妙な動物群の生き様を「ワンダフルライフ」と読んだのかは,下記のエッセイに昔書きました,ご一読ください.
http://www.eonet.ne.jp/%7Eseagull/essay_1.html#B9

上記バージェスを含むカナダへの旅の途中で,サンアンドレアス断層を飛行機から観る経緯は下記をどうぞ.
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/CANADA/Misc/index.html

ちょっとそのうち,私のバージェス巡検記の動画をYouTubeに上げます.しばらくおまちください.

水月湖の湖底の年縞について,

これについて,この研究を主導した,中川さん(現立命館大学)の講演記録があります.大変わかりやすい解説です.
https://www.hitachi-zaidan.org/reference-room/data/work04_18.pdf

私の年縞博物館の探訪記が下記にあります(3度訪れています).
http://seagull.stars.ne.jp/2019_Fukui/index.html

年輪と気候変動については
https://ja.wikipedia.org/wiki/年輪年代学
などから,参考文献をたどってください.
ICPPの気候変動のグラフの元のデータを解析した研究者のHPは
https://michaelmann.net/

Q&A.

Q.サン・アンドレアス断層の飛行機からの写真で,断層に伴う川のずれが,場所により異なるのはなぜですか?
A.これちょっと今調べています.少しお待ちください.


Q.マントル対流説は力を失ったということですが,マントル対流そのものはどうなんですか?
A.とても重要な質問です.対流そのものはあります.これがないと地球内部の熱を外に逃がす手段が伝導だけになって,とても効率が悪くなります.現在ではプレートの動きとマントル対流の動きは,中央海嶺部を除くと, あまりリンクしていないという考えです.言い方を換えると,プレートの底とマントルの間の摩擦が小さいと考えていると言えるかもしれません.摩擦が大きい と引きずられるはずですから.プレートはプレート独自の力学(沈み込む自分自身の重さ)で自分を駆動しているという考え方ですね.

Q.この授業や地学に関係のある博物館でどこかおすすめはありますか?
A.今日話した年縞博物館は一見の価値があります.私は都合3回行きました.希望すれば説明を聞くこともできます.ほかに福井には恐竜博物館が勝山市にあ ります.こちらもこの種の博物館では日本有数だと思います.勝山市内には多くの恐竜のシンボルがあって,こちらも見ものです.
あとは身近ですが大阪市内の長居にある大阪市立自然史博物館は安くて観るものが多いです.あと神戸市の北の三田にある「人と自然博物館」,神戸市にある, 神戸の震災の記録を展示した「人と防災未来センター」,明石海峡を渡って,淡路島の「野島断層保存館」もどうですか.今思いつくのはとりあえずそれくらい です.また追加するかも知れません.



01/16 Tongaの噴火と津波に関して(臨時)
 

ここ数日来,南半球のTonga諸島の中で海上(海底?)噴火が生じて,その影響で今日未明,日本で津波が観測されました,今週は授業がありませんので,現在入手できる限りの詳報をここに記載します.

まず噴火と津波の様子は,幾つかの動画が伝えています.
Gardianのニュース
https://www.youtube.com/watch?v=a0PICCxz5iw
CNN
https://www.youtube.com/watch?v=SLdZEgDUojc
BBC
https://www.bbc.com/news/world-asia-60007119

いずれも巨大な火山噴火の雲が広がる衛星写真を報じています.これらから,火山灰が成層圏まで吹き上がる,かなり規模の大きなプリニー式の噴火だとわかります.

最初の噴火?を至近距離から撮影した動画では,授業で解説したCock’Tailのマグマ水蒸気爆発を示す黒い噴煙が記録されています.また立ち上る噴煙も同時に見えています.さらに注意すると火山雷もあるようです.
https://www.youtube.com/watch?v=qc8cLF8ZDPg

一番科学的によくまとまって詳しいと思われるのは下記の動画です(これがおすすめ).Cock's Tailの様子もよくわかります.噴煙は30km(成層圏)に達したと述べています.
https://www.youtube.com/watch?v=B54HbfqDbK4

噴火は何度か生じているようなので,もっとも最近の噴火で今日の津波が形成されたと思われます.

次に津波の成因ですが,火山における津波でもっとも多いのは,大規模なカルデラが形成されるときは,火山(火山島)そのものが噴火後に海底下に沈んで,そ こに大量の海水が流れ込み,津波が発生します.授業で見せた,紀元前1500年ころのサントリーニ島の噴火ではそれが起こったと考えられています.
次に上記動画で解説されているのは,火山島の一部の山麓が崩壊して地すべりを起こし,それが海面に流れ込んで発生する津波です.これも歴史的には大変多くの災害がしられています(上記動画で2分すぎから解説されています).

たとえば,江戸時代(1792年)に雲仙の噴火と同時期に眉山という山が崩壊して,海になだれ込み有明海で大きな津波が発生して,対岸の熊本地域に多数の犠牲者が出ました.これは「島原大変肥後迷惑」と呼ばれる歴史的災害です.
http://www.qsr.mlit.go.jp/unzen/wlib/pdf/010101a.pdf

しかし,今朝の気象庁の説明は少し異なります.何らかの気圧の変化が海面を動かして発生したという解説みたいです(上記おすすめ動画の44秒あたりに,噴 火に伴う対岸のアデレードでの気圧変化のグラフが載っています).まだ詳しいことは今後の解説を待ちます.(1/6午前の補足です.上記の気象庁の説明は 未明の津波の説明ではなく,昨夜8時ころに太平洋岸で観測された潮位変化(津波とは異なる)の説明のようです.これ結論めいたものを下に書き置きまし た).

ちなみに少し簡単に津波の速度計算をやってみます.噴火がUSGSの地震速報によると,日本時間の昨日の13:15ころだとされています.
https://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eventpage/pt22015050/executive
Google地図でTongaの噴火場所から,日本で一番早かった津波到着地点の,奄美大島までの距離を概算すると8000kmになります.太平洋の平均 水深を4000mとして重力加速度gを約10とすると,津波の速度は200m/sになります(v=√gh).8000kmをこれで割ると,津波の到着まで は11時間となり,奄美への津波の到着時刻(昨夜0時前)ときれいに合います.

さらに追記です.昨夜津波とは別に,太平洋岸に夜の8時ころに潮位変化があったという報告がされています.これは上記津波の計算からは早すぎます.これが 噴火の衝撃波が気圧の変化として伝わり,海面を変動させたとすると,音速を340m/sとして,到着時刻を計算するとほぼぴたりと合います.今後のさらな る詳細の報告を待ちたいと思います.
ちなみに,気圧変化と潮位変化がほぼ同時に来たというグラフ(早川さんのツイッタの紹介).
https://twitter.com/DrGregDusek/status/1482427445743697927/photo/1
カリブ海での記録なので,海はつながっていない.したがってこれは津波ではない!空中の噴火の衝撃波が音速で伝わり,潮位変化を引き起こしていると考えるのが妥当.

このあと,やっと気象庁のこの噴火と津波についての記者会見を全部見終わりました.長いですが,気象庁の説明はとても科学的です.ただしめちゃ長いですが.
https://www.youtube.com/watch?v=4-uM5ksQh-A

これを見終わっての私の,今日現在の推測は,

この一連の潮位変化と津波には2種類の起原の異なる波が含まれている.
1)昨夜の8時過ぎから観測された太平洋岸の潮位変化は,噴火の衝撃波が空気中を音速で伝わり,その衝撃が海面を叩いて作り出された音速にリンクする波.
2)深夜から本日未明に観測されたメートルクラスの潮位変化は,噴火の本体の火山のあたりで何らかの理由で生じた地殻変動,が海面を変動させて生じた津波.
です.その2種類が連続的にやってきたので,まるで地震波のP波とそれによって生じる初期微動,さらにS波とそれによって生じる主要動みたいな波形の潮位変化が各地で観測された.
潮位の変化例は例えば下記(奄美市の例,地震の観測波形のように見える!),
https://www.jma.go.jp/bosai/tidelevel/#area_type=class20s&area_code=4622200&point_code=198834&class30s=46004100&filter=0

なお,マグマ水蒸気爆発に関して,「ベースサージ」というものが発生することがあります.これが典型的に記録されたのは実は火山噴火ではなく,南太平洋のビキニ海域の水爆実験だったのです.
https://www.youtube.com/watch?v=mONxE4WM1aw
上の動画の53から54秒あたりで,海面上をきれいな薄い白い円を描いて,広がる爆風があります.これが「ベースサージ」と言われる現象で,現実の火山(海底火山など)でも生じて,大きな被害を出すと考えられています.次の授業で少しだけ解説を入れます.
http://www.kazan.or.jp/J/QA/sr/qa-5810.html
にも少し解説があります.
とりあえず今日のところは以上です.


01/12 第13回プレートテクトニクス
 

今日の講義内容に関連して,幾つか教材を作っています.次回もご紹介しますが,

簡単に作れる地磁気計 https://www.zisin.jp/publications/pdf/nf-vol68.pdf#page=5
大陸移動モデル https://www.zisin.jp/publications/pdf/nf-vol62.pdf#page=7
トランスフォーム断層ペーパーモデル(来週実際に行います) https://www.zisin.jp/publications/pdf/nf-vol56.pdf#page=5
海底磁化モデル http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Univ/2015_Kaken/2015_Makuhari/%E5%B9%95%E5%BC%B5%E5%9C%B0%E7%A3%81%E6%B0%97%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB.pdf

スマホの磁力計
授業でお見せしたiPhoneの磁力計は下記のものの中に含まれるものです.カメラの付近に磁気センサがあるという話なので,その付近に岩石を近づけるとよいと思います.
Physics Toolbox Sensor Suites
これはスマホ(Androidを含む)に積まれた各種の物理センサを使って,様々な測定ができる優れものアプリです.物理の実験にも使えそうです.ただし精度の方はよく知りません.

それと次回もお見せしますが,和達−ベニヨフゾーンがきれいに見える3D震源地図の資料です.

3D震源地図について,
この地図は私のオリジナルなのですが,研究発表だけでまだ論文になっていません.下記をご覧ください.実は10年以上も前に,さる国際雑誌に投稿したのですが,英語がなっていないとか,色々と修正の意見がついて,それ以降忙しくなって,まだ書き直していません(泣).
http://seagull.stars.ne.jp/Recent_Articles_2018/2011_AGU_ChromaDepth_Seismicity_Map.pdf

メガネの国内での入手先はたとえば下記です.
http://www.texnai.co.jp/3dglasses/paper/chroma.html
私は米国の下記サイトなどにFAXで注文して送ってもらっています.かならずメールで送料を問い合わせてから,カード決済します.FeDEXの国際宅急便 で1周間くらいで到着します.よく似て,別の全くことなるメガネもあるのでかならず,ChromaDepth3DGlassesのstandardタイプ と指定します.
https://the3dmarket.com/collections/chromadepth/products/chromadepth-standard

この立体視の原理をきちんと科学的に記したものは,探しましたがネット上では下記のものしか私は見つけれなかったです.
https://www.researchgate.net/publication/239327826_3-D_Vision_with_ChromaDepth_Glasses
一応,学会発表のときに引用の件で連絡を取ったことがある方で,とても親切でした.

英国のスパイ小説の巨匠はフレデリックフォーサイスです.作品は
https://booklog.jp/author/フレデリック・フォーサイス
に紹介されています.
今日お見せした「戦争の犬たち」は特におすすめです.冒頭から錫の鉱脈の話(地学に関係)がでてきます.映画でも見れます.
https://www.thecinema.jp/article/931
も映画化にまつわる様々な話(噂も?)が紹介されてありとても興味深いです.


Q&A.今回は多くの質問をいただきました.

Q.プレートの開裂部は南半球に多く,収束部(衝突部)は北半球に多いのはなぜですか?
A.とても良い質問ですね.3億年前に一旦地球上の大陸は,現在の南極を中心とする南半球に集結していました.それが割れて北半球の方に移動して現在の配 置になりました.その結果大陸を割ったプレートの開裂境界の多くが現在は南半球にあるというのが答えになるかと思います.問題はこのあとまた数億年経つと どうなるのかということです.これについては,再度大陸はまた集結して巨大な超大陸を形成するという考え方があります.その考えでは地球上ではこのような 超大陸とその分裂,集結が繰り返されたということになります.この考え方を「ウィルソンサイクル」と呼んでいます.ただし,その過程で大陸はどんどん周囲 に成長していっているという考え方です.大陸成長説ともいいます.

Q.キュリー点は温度が上がって,磁力を失いました.今流行りのリニアモーターカーなどに使われる超伝導は逆に超低温で,抵抗がなくなります.これは同じ原理によるものですか?
A.無茶苦茶よい質問ですが,すみませんお答えするのは私の能力を越えます.物理が専門の先生に聞いてみてください.ただし,一つ言えることは,分子の振動速度は温度に相関します.高温ほどよく動き,低温ほど動きにがにぶくなるのですよね?これと関係すると思うのですが.

Q.関連してキュリー点の温度はなぜ鉄の種類で異なるのですか?
A.これも詳しくは知りません.下記あたりの説明からたどってみてください
https://www.gsj.jp/Muse/kids/read/FullscreenBookBlock/chijigyakuten.html

Q.偏角と伏角が全然わかりませんでした.
A.https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/menu01_index.html あたりから調べてみてください.

Q.プレートが沈み込むときに,水が放出されてマントルの岩石の融点が下がり,マグマが発生するという話でしたが,海水も一緒に沈み込むということですか?
A.とてもよい質問です.私の理解は水が直接プレートと一緒に沈み込むのではなく,海底の岩石(チャートなどの堆積岩やその下の玄武岩)がそもそも海水に 満たされていて,その隙間や,ある場合には鉱物の中に含水鉱物として海水を溜め込んだまま,沈み込むというイメージです.よろしいでしょうか?

Q.マグマの発生の話をもう少し詳しく
A.中央海嶺(アイスランドも含む)でのマグマの発生については
https://mtl-muse.com/study/kashio-spring/magma1/
沈み込み帯(日本列島など)のマグマの発生については
https://mtl-muse.com/study/kashio-spring/magma2/

なお巽モデルの巽好幸さんの火山関連の記事もご参考に
https://news.yahoo.co.jp/byline/tatsumiyoshiyuki


01/05 第12回 リスクと大陸移動説

多くの課題をすでにいただいています.今年はとても力作が多く,読ませてもらうのが楽しみです.今夜の締切に遅れないように提出をお願いします!
 
 リスクの定量化の話で,神戸大学の巽さんの作った,リスク比較の図のURLは以下です.
https://www.kobe-u.ac.jp/images/NEWS/info/pr/2014_10_22_01-3_original.png
さらにその元ページは
https://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/research/2014_10_22_01.html
上の図では,最後の授業の回にお話する隕石衝突のリスクも載っているのが興味深いです.

ウェゲナーに関連してドイツのお話をしましたが,私のドイツ紀行は下記です.
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/2006_Germany/index.html
科学博物館の写真は
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/2006_Germany/Germany_1.html
PISAショックの話は
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/2006_Germany/Germany_Opinion.html
です.

次にケープタウンのテーブルマウンテンの紀行は
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/2016_IGC/2016_IGC35_Table_Mts.html

その他の紀行は
2016年 IGC35 South Africa Cape Town (additional photos on 3rd March 2019)
  Robben Is  Cape_Peninsula   Table_Mountain   IGC35 and Misc_Photos_1  Cape_Town (New!Hotel  PC_Diary Memo_Diary
ネルソン・マンデラの収容れていた政治犯刑務所の紀行は
最初のRobben Is
です.
そのマンデラが,釈放されてのち,選挙で選ばれて初代黒人大統領になります.しかし,黒人が政治に参画したことで,混迷が続く南アフリカ社会を「ラグビー」W杯の開催に合わせて,何とか一つにまとめようと奔走する話の実話から,撮った映画が次です.

映画「インビクタス」
私がお金を払っているAmazonPrimeでは現在無料で観れます.とてもよい映画なのでごらんになることをおすすめします.特に私は南アフリカ航空の ジェット旅客機が進路を変更して,試合の行われるスタジアムの超低空を飛んで,代表チームに空からエールを贈るシーンがとても好きです.これは実話だそう です.

またこの映画と,私の3度にわたる南アフリカ渡航から資料を揃えて,附属高の高3生に行った英語授業の記録が下記にあります.興味を持った方はお読みください.
岡本義雄:英語で地学の授業を行う試みPart3 -南アフリカと初期地球の物語-,附属天王寺中・高研究集録No.59,71-90,2017

などを参考にしてください.

動画で一部お見せした,フォーサイスの「レッドオクトーバーを追え」
https://bookmeter.com/books/433772
はすでに廃刊で古本だけのようです.映画の方はどこかで見れると思います.AmazonPrimeはレンタルで有料のようです.

Q&A.つぎに質問にお答えします.

Q.他の授業で聞いた話で,大きなプレートの境界の一部分で小さな地震が起こることが,次の大地震の予兆だという話を聞きました.これをどう思いますか?
A.この種の話はとてもたくさんあります.さらに過去の地震を調べるとある小さな地震が,本震の前に起こる前震だったということもあります.しかし問題はそれがすべての地震で起こるかという問題です.前震が起こらずにいきなり大きな地震が起こることも数多いです.
また最近では,来たるべき南海地震の前には西日本の内陸部の地震が活発化するという研究をされている方も多いです.しかしそれは一つ前の南海地震の前に活 発化したという現象を捉えて,それがいつも生じるという風に敷衍できるかということが問題だと思います(その前の南海地震になるともう,地震活動をきちん と捉える観測手段はなかった時代となります).もちろん地域的な地震活動の癖のようなものがあることは認めるのですが,それがそれでは予知の戦略として科 学的に採用できるかとういうと,私は別問題だと考えます.

Q.先生は色んな国に出かけられていますが,おすすめの国がありますか?
A.これはとてもむずかしい質問で一概には言えません.どの国にも個性があり,固有の文化があり,学ぶべきものがたくさんあります.
しいて上げるなら,若いときには発展途上国を旅されるのがよいかと思います.不便なことも多いですが,逆に学ぶことも多いです.日本の常識を逆の立場から 見直す好機となります.アフリカなどがよいのですが,まあどこも治安が問題なので,その点ではアジアですが,インドネシアなどはおすすめだと思います.


12/22 第11回
 
火山の噴火と岩石の種類を勉強するサイトとして下記がおすすめです.溶岩流についてとても丁寧な説明があります.動画もあります.
https://note.com/hayakawayukio/n/n33c4af6de0be

※冬休みの課題,忘れないようにお願いします.締切に遅れると「指数関数」で評価が下がります!

先にQ&Aから紹介します.  補足などはしばらくおまちください.

Q.レポートの課題のテーマが決まっていません.どのようなテーマで進めるか,イメージが湧かないので教えてください.
A.とくに自然科学には限らないので,自分の好きな分野で何か,ランキングのデータなどを探すところから始めてはどうですか?ヒット曲とか,映画とかスポーツとか何でもいいですよ.

Q.同じカルデラで複数回噴火することはあるのですか?
A.とてもよい質問です.あります.例えば阿蘇山は過去大きな噴火を4回繰り返しています.
WikiPediaから下記の部分を抜粋します.

約27万年前から9万年前までに大規模な噴火が4回 (Aso-1~4) あった。大量の火山礫や火山灰を噴出したため、広範囲に火砕流を到達させ火口の周囲に火砕流台地と巨大な窪地(カルデラ)が形成された。Aso-1~4いずれも噴出物の全岩化学組成が珪長質から苦鉄質へと変化する堆積物を有している[24]

その中でも4回目の噴火 であるAso-4 (約9万年前) は最も規模が大きく噴出量は約600立方kmを越えており[31][注釈 1]、火砕流は九州中央部を覆い一部は海を越え山口県秋吉台まで達し[32]、火山灰は日本海海底、北海道まで達した[33]。朝鮮半島でも確認されている[34]。約9万年前に起きたこの噴火は「ウルトラプリニー式噴火破局噴火)」であったといえる。阿蘇3テフラ[27]、阿蘇4テフラの火山灰でできた地層を見つければ年代を特定でき、植物学、考古学など様々な研究分野で重要な指標堆積物として使われている。

Q.これに関連して,同じカルデラの火山灰だと特定できれば,それにより噴火の周期を見極めることができるのでは?
A.これもとても鋭い指摘です.たしかに上記の阿蘇山の例で時間間隔を測ると,
12.5
1.8
3.7 (万年)
となり,あまりきれいな周期にはならないようです.このあたりも火山噴火の予測の難しさを示しているようです.ただ阿蘇の場合は最大の噴火からすでに8.6万年経過しているということは,どこかで心に置いた方がよいと思われます.

Q.シベリアで過去に起こった最大級の噴火の規模はどれくらいになりますか?
A.これもとてもよい質問です.これは最後の方の授業でお話しする,生物大量絶滅とも関連します.たとえば恐竜が絶滅した6500万年前にはシベリアと同 じ規模の噴火がデカン高原でも起きています.これらは溶岩台地という巨大な大地を形成する地球史の最大規模の噴火となります.とくに英語でtrapという 単語を使ってシベリア・トラップとかデカン・トラップとか呼ばれています.その規模ですが,よく使われるVEI(火山爆発指数)は噴出物の量で推定される のですが,デカン高原を形成する溶岩噴出のような場合には,計算手法がないのか(爆発的な噴火でのみ計算可能?),探した限りは見つかりませんでした.た だ史上最大規模の噴火であることはほぼ間違いないです.

Q.次の破局噴火はいつごろ起こるのですか?
A.これがわかれば苦労しませんね.しかし本当にわからないのです.日本列島に住む我々を襲った最後の破局噴火はアカホヤ噴火(鬼界カルデラ)ですが,す でに7300年経っています.これをそろそろと考えるか,まだまだ余裕があると考えるかですね.私にもわかりません.しかし確実に言えることは「日本沈 没」は歴史上は生じていない(地質学的証拠はない)のですが,カルデラ噴火は地質学的事実です.過去に生じたことは未来にも生じると考えるしかないです ね.シリア難民を遠い世界の出来事で自分は関係ないと考えない方がよいということだと思います.


12/15第10回

 授業の参考,補足

 最初のNikeのCMは下記です(昨年紹介したときとはURLが異なっていました).
https://www.youtube.com/watch?v=cfQ8OvBApQM
そしてそれを紹介したNNNニュースの録画
https://www.youtube.com/watch?v=v-fnHDIXMo4
いくつかコメントをいただきました.私の姿勢は一貫していて,人権は生来みんなが持っているものであるが,その意味はきちんと教育で学ばないといけないも のだという立場です.しかし,時として人権教育は,ある種の押し付けがましさや,反論を許さない雰囲気のもとになされて,それが反発を招いてしまうことも 事実です.来週話す予定の資料を今日配ってしまったのですが,関連して「防災教育」についての,静岡大学の小山さんの意見もご参考に.

1980年のセントへレンズ火山の噴火の動画は次がおすすめです.比較的わかりやすい英語で,YouTubeの設定で字幕を入れるとよいと思います.
https://www.youtube.com/watch?v=AYla6q3is6w
ただ途中でCGが入ってしまいますが.実際の画像とCGの違いを注意して見てみましょう.
少し長いものが下記です.こちらはすべて実写のみのようです.
https://www.youtube.com/watch?v=fArB5Jz2wos

1902年のMt.Peleの噴火の動画は下記です.実写のみですが,他の火山の噴火画像や,かなりむごたらしい遺体の様子も映っています.
https://www.youtube.com/watch?v=IeskQETCT8Q

あと別の火山ですが,すべて実写映像の動画が下記です.
https://www.youtube.com/watch?v=N2Pvr22gTo4

いずれも火山の専門家が制作に関与していて,信頼できる内容です.

火山灰の写真のページを新設しました.ごらんください.
http://yossi-okamoto.net/Tephra/index.html

私の撮影した火山灰露頭写真です.参考に.

大阪層群中のピンクタフ(1992,泉北ニュータウン槇塚台から庭代台に向かう車道近く,現在は造成終了)
阿蘇山カルデラ内のAT火山灰層(1992年頃,カルデラ内で詳細記録なし)
阿蘇山外輪山のアカホヤ火山灰層(2020年撮影,詳しくはhttp://seagull.stars.ne.jp/2020_Kyusyu/Aso_index.html

三宅島の神津島火山灰の露頭(2007,写真内にラベルあり,ATは少しひっかいたあとのある部分)
三宅島のオリビンサンドビーチ(釜之尻海岸)
どんずる峯の火山豆石(2019)

また中学・高校の理科の先生用に火山灰観察の動画を,大学の制作予算補助の元で公開しています.下記をごらんください.
基礎編(約20分) 
https://vimeo.com/434984990/5ca2f4afd3
発展編(約30分) 
https://vimeo.com/434985299/ad7db1c0e9


質問をいただいています.

Q.大阪の地下にあるピンク火山灰やアズキ火山灰が,九州のかつてあった火山噴火によるということだったのですが,現在その山はあるのですか?
A.https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc1893/100/11/100_11_848/_article/-char/ja/ この論文などからこの推測がなされています.
猪牟田カルデラ(ししむたカルデラ)がその起原とされていますが,現在ではすでに埋没ということで地形的には,すでに侵食などにより場所があまりはっきりしないものだと思われます.
Q.1815年のタンボラ火山噴火では,成層圏に上がった微細はチリが,日射を遮り,気温が低下したということですが,それとヨーロッパで異常は夕焼けが見られたという現象との関係は?
A.夕焼けは,とても長い間大気層の中を,太陽の光が通り抜けるので,青い光が遮られて赤い光だけが通ってみえるのですが,成層圏に上がったチリは短い距 離の間だけ日射を遮るということで,日射全体の量がほんの少しだけ,低下するのですが,それが数年に渡り続いたので,世界の平均気温が下がったです.ただ し,火山噴火には別の作用もあります.実は火山ガスの中には多量のCO2も含まれています.そのため大量の噴火が続く地質時代には,長い目で観るとむし ろ,気温が温暖化した例も知られています.自然はなかなか複雑です.この後半の話は気候変動のところでもう一度,お話します.
Q.理系の火山の本を図書館で借りて,勉強を始めたのですが,こうした理系の本を読んで勉強するコツのようなものがありますか?
A.なかなか難しい質問です.たしかに専門家向けの地球科学の専門書は,専門用語が多く,まずこれを理解するだけで結構は時間が必要ですね.もちろん専門 家用の本を読むことも大事ですが,まずはそれを専門家自身が噛み砕いて説明した,一般向けの本を読むのも最初は勉強になると思います.そのあと難しい専門 用語が載った本を読むのがおすすめです.火山の分野でいうと下記のような本がおすすめです.

よくわかる火山のしくみ: どうして噴火するの? 火山のすべてを大解剖! (子供の科学・サイエンスブックス) 単行本 – 2016/1/14
高橋 正樹 (著)2420円
日本の火山図鑑: 110すべての活火山の噴火と特徴がわかる 単行本 – 2015/7/22

12/15 「冪乗則」のグラフの作り方(昨年のページより)

Q.冬休み課題のコメントは何をどれくらい書けばよいのですか?
A.A4用紙の1枚にグラフを,あとの1枚に

1)なぜそのデータを選んだのか?
2)グラフを書いてみて,何がわかったか?あるいは気づいたか?
3)グラフを書いてみた感想.
難しかった点
4)その他

などを書いてくれればよいです.

べき乗則のトライアル(自分でデータを取ってきてグラフにする方法)⇒冬休みレポートの課題

動画のリンク(昨年制作)
https://youtu.be/rchhNTmL8e8

コメントカードで,「サッカーのゴールではなく,野球のホームランならどうなりますか?」という質問があったので,実際にやってみましょう!
まずデータを探します.セリーグの本塁打で調べます.
https://baseball-data.com/
という野球のデータサイトがありました.この中に野手の記録として
https://baseball-data.com/stats/hitter-ce/hr-2.html
にありました.これの表の数字を全部選択して,テキストファイル(メモ帳などにコピーして作る)にします.下のような感じになります.

1    岡本 和真    巨人    .276    117    497    438    121    31    97    2    54    5    83    0    10    .362    .548    .910    6.97    6.83
2    村上 宗隆    ヤクルト    .307    120    515    424    130    28    86    11    87    3    115    0    8    .427    .585    1.012    9.05    8.67
2    大山 悠輔    阪神    .290    115    467    420    122    28    85    1    40    5    94    1    14    .358    .564    .923    6.66    6.50
4    丸 佳浩    巨人    .283    119    488    421    119    27    76    8    62    0    101    3    3    .373    .553    .927    7.48    7.30
5    鈴木 誠也    広島    .300    118    514    430    129    25    75    6    72    9    73    0    15    .409    .544    .953    7.67    7.46
5    ソト    DeNA    .254    112    472    421    107    25    77    0    43    3    101    0    11    .324    .473    .797    5.18    5.33
7    佐野 恵太    DeNA    .328    106    451    402    132    20    69    0    42    4    58    0    13    .395    .532    .927    7.49    7.25
7    オースティン    DeNA    .286    65    269    238    68    20    56    0    29    1    69    0    4    .364    .605    .969    7.77    7.65
9    梶谷 隆幸    DeNA    .325    108    480    431    140    19    53    14    45    1    84    1    4    .388    .529    .917    7.60    7.28
9    坂本 勇人    巨人    .289    114    476    409    118    19    65    4    62    0    84    1    9    .379    .501    .880    6.85    6.68
9    サンズ    阪神    .259    109    441    375    97    19    64    2    61    3    104    0    11    .365    .453    .818    5.74    5.76
12    青木 宣親    ヤクルト    .317    107    425    357    113    18    51    2    62    5    51    0    6    .424    .557    .981    8.87    8.46
13    ビシエド    中日    .267    109    462    409    109    17    82    3    34    9    48    0    17    .329    .447    .776    4.75    4.91
13    ボーア    阪神    .243    99    379    329    80    17    45    1    45    3    88    0    13    .338    .422    .760    4.61    4.72
これを.csvファイルとして保存します.テキストでもかまいません..csvはカンマセパレートバリューの略で,通常カンマで区切られた表などを保存す るのに使います.これにしておくと,表計算ソフトが開くときに,どの記号をデータ区切りにしますか?と聞いてくるので下の処理がしやすくなります.

このファイルを表計算ソフト(Excelなど)で開く.このとき,データの区切りをタブとかスペースとかで,ちゃんと上記の数値が下のようなきれいな区切りの表になるように工夫して開く.


このようになります.次にこの中からA列のランキングとI列の本塁打を選択します.そしてその選択したA列とI列で,挿入からグラフを選びます.色んなグラフがありますが,ここではかならず,散布図を選びます(コレ重要!).次のようなグラフになります.


これはノーマルな軸です.縦軸が本数(I列),横軸(A列)が選手のランキングです.次にこれを対数軸にします.軸のところを右クリックして,軸の書式から対数軸にチェックを入れます.


残念,「セリーグ本塁打ランキング」はあまりきれいな直線になりませんでした!みなさんも色んなデータでぜひ試してみてください!
今のうちから色々と探してはグラフを作ってみてください!
下記にエクセル用のファイルを置いておきます.自分で一度グラフを作ってみよう!選手名をラベルに貼るとか工夫してみよう!
http://yossi-okamoto.net/Univ_Lec/2020_AS/ホームラン.xlsx



12/08 第9回(暫定版)火山の話1回目
 今回で終了した地震全般について,一度総復習をしたいなら,下記のサイトがおすすめです.
https://www.jishin.go.jp/main/pamphlet/wakaru_shiryo2/wakaru_shiryo2_4.pdf
これは政府の地震調査委員会が作ったものなので,信頼がおけます.
ただし「固有地震説」については,地震研究者の中に異論があります.たとえば以下のようなものです(ただし英語)
https://slideplayer.com/slide/8118231/

さらに総復習用で動画の方がよいというのなら下記がよいかと(東京大学を定年退官された纐纈さんの講演).
https://www.youtube.com/watch?v=YhWlWhsTZvc

火山の方に入って,授業でお見せしたビデオは
national geographic volcano nature's inferno
で検索すれば,YouTubeで出てきますが,著作権をクリアしたものかどうかは不明です.Amazonには現在VHS版しかおいていないようです.

これを用いている理由は授業でいいましたが,全編実写フィルムだからです.CGを用いていません.
続編は次の授業でもおみせします.

ハワイ島の火山については,2018年のキラウエアの噴火が記憶に新しいところです.以下の解説やそこからリンクされるビデオなども参考にしてください.

2018年ハワイ島プナ地区南部の火山活動 で検索するとWikipediaに飛びます. 

続いてQ&Aです.

Q.火山噴火のトリガーになるのはどのような現象ですか?地震がトリガーになることは予想できますが.

A.とてもよい質問ですが,これはなかなか難しいです.コメントカードに書かれているように本質的に非線形な現象だと言えます.たとえば何らかの原因で火 口部分にクラック(割れ目)が入ったりして,内部の圧力が低下すると地下の高圧下のマグマの圧力が抜けて,中に溶けているガスが急激な発泡を起こし,体積 が急激に膨張して噴火が始まると考えられています.クラックは当然ながら地震などでも生じます.これの極端な例は,たとえば1980年の St.Helens山(米国シアトル近郊)の噴火です.たまたま山体の近くで起きた地震で,山体の上部が地滑りを起こしてずれ,その結果そのずれ部分に地 下水が入る.⇒その水がマグマと接触して,水が水蒸気に変わる急激な膨張を起こして(マグマ水蒸気爆発),上部の山体部分を吹き飛ばして噴火が生じたとさ れています.このときには火山の専門家を含めて57名が死亡しています.これはまたビデオでご紹介します.
あと月の潮汐力の影響などを考える人もいるようです.また雨が引き金になったという報告もあるようです.

Q.マグマの粘り気が,火山により異なるのはなぜですか?

A.マグマの粘性を決めるもっとも大きなファクターは,マグマの中のSiO2成分だとされています.SiO2成分が多いほど一般的に粘性が強く(大きく) なります.つまり玄武岩⇒安山岩⇒流紋岩の順に粘性が上がります.しかしそれだけではなく,マグマの温度や(低温なほど粘性が高い),マグマ中の結晶の多 さ(多いほど粘性が高い),ガス成分の量などにもコントロールされると考えられます.一般的には,海洋の中の火山,ハワイやアイスランドなどは玄武岩で粘 性が低く,陸上の火山は安山岩から流紋岩質で粘性が高いと考えられます.もちろん例外もたくさんありますが.

火山の話はまだまだ年内続きますので,そのときにまた質問してください.


12/01 第8回(暫定版)
 津波と地震計,地震予知の話をしました.まず最初の津波に関して,私の1年後の東北津波の跡を訪れた記録は下記です.
http://seagull.stars.ne.jp/Field_Trip_Japan/Kuradashi_4/index.html
http://seagull.stars.ne.jp/Field_Trip_Japan/Kuradashi_5/index.html
http://seagull.stars.ne.jp/Field_Trip_Japan/Kuradashi_6/index.html
すでに津波から1年が経過していましたが,それでもそこかしこに爪痕はまだ,未整備のまま残されていました.地球科学を学んだものとして,一度は見ておか なければ行けない光景だと,深く胸に刻み込まれました.この津波に関して「釜石の奇跡」といわれる逸話があるのですが,それはまたいずれお話できると思い ます.

上記の報告の中にある,旅館「宝来館」の女将の,津波に遭遇する動画と,その後の語り部としての話.
https://www.youtube.com/watch?v=XCMxIPHvMAY
https://www.youtube.com/watch?v=a3w_PNt2Bps

東北津波の宮古市での動画の映像ですが,いくつかのバージョンあるのですが.
https://www.youtube.com/watch?v=Run7WrfCgRE
が見やすいかと思います.最初に水が引いていくところ,そしてゆっくりと水が陸に押し寄せる様子が息を飲みます.
スライドで見せた田老の町の当時世界一と言われた防波堤と,津波の様子は
https://www.youtube.com/watch?v=JIi2yr-lWF4

津波のシミュレーションに関しては,下記サイトに以前の「固体地球科学II」の授業でのエクセルを使った津波の解説があります.
http://yossi-okamoto.net/Univ_Lec/2018_SE/index.html

および拙作のサイトから
津波伝播 2011東北地震津波
のリンクを見てください.私の津波シミュレーションの計算手法の詳細が書かれています.また授業で見せた私の作成したシミュレーション動画も置いています.

最初に見せた地震計について,
「日本地震学会HPにある筆者の地震計など教材のサイトは
https://www.zisin.jp/publications/document04_04.html
の地震計に関する記事をごらんください.製作に関する質問も大歓迎です.

最後の紹介したShimazaki&Nakataの時間予測モデルのグラフですが,
元論文は下記です.
https://www.researchgate.net/publication/248809769_Time-Predictable_recurrence_model_for_large_earthquakes
作り方は以下のとおり,一度自分で作成してみてください.
まず地図の元図は,南房総市(旧千倉町はこの市に統合されて名前が変更になった)のWebサイトより,
https://www.city.minamiboso.chiba.jp/cmsfiles/contents/0000013/13956/23_09NE821-833.pdf
の中の
IXーNE82-2 というページです.このページの拡大を次に記す.



この中の4段の段丘面の平均的な高さを図から読み取る.そしてその差を取る.たとえば私の例だと
24.5m 16.2m 10.5m 6.4m と仮に読み取ると,その差は
  8.3m        5.7m       4.1m  6.4m (海面との差)
この差は格段が過去の地震のときに隆起した量だと仮定する. その地震が起きた時代は実は段丘面に含まれる貝殻などの放射性年代測定値から推定する⇒段丘面ができたときが地震が発生した年代だと仮定する.すると資料よりその年代は
 6150年前 4350年前 2850年前 西暦1703年 の4回だと仮定する.この赤の隆起量と青の時間をグラフに階段を作っていくのが,グラフ作りの作業です.自分の測定でやってみよう! 結果は来週解説します! 

Q. 9.11テロのときに先生が読んでいた小説が気になります.何という小説ですか?
A. 米国のスパイ小説家トム・クラインシーの「日米開戦」です.
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%B1%B3%E9%96%8B%E6%88%A6

Q.テストはどのような形式で行われますか?
A.2回めの授業で配った,
 1)アンケートみたいな形式の4択問題,簡単な知識を問う問題.
 記述問題として,
 2)何かグラフに関して説明や計算,知識を問うもの
 3)与えられた題に対して,自分の意見を書く問題.
の組み合わせになります.毎回授業に出席して,一緒にいろんなことを考えてくれていれば,容易だと思います.
なお,ときどき授業で示す,教育に関する「お題」はテスト範囲外とします.こちらはコメントカードで回答ねがいます.

Q.ロック・コンサートなどでも地震が発生するのですか?
A.たとえば次のような記事があります.
http://j.people.com.cn/2004/12/25/print20041225_46348.html


11/26 今回の軽石をJAMSTEC(海洋開発研究機構)の研究員が薄片とX線分析する過程を動画にしています(とても長い!)
地学好きな人にはたまらない動画となっています.岩石の分析の基本が詰まっています!
https://live.nicovideo.jp/watch/lv334547360

11/24 第7回 (下記はまだ追加するかも知れません)

当初の軽石の話題ですが,その専門的な説明は下記などにあります.また火山の話のときに話題にします.
https://www.gsj.jp/hazards/volcano/fukutokuokanoba/2021/index.html
なお,入手先は,私の知り合いで沖縄在住のMさんからです.採集場所は沖縄県名護市古宇利島です.
いただいた軽石の一部は下記のようなものです.俗にチョコチップと言われる白い軽石の中に黒い石が含まれているのが特徴です.



 地震のビデオですが,もともと日本地震学会が製作したもので,著作権は地震学会にあります.残念ながら現在,一般公開はされていないようです.この件については学会の担当者に一般公開の可否を含めて問い合わせをしています.しばらくお待ちください.

さて,震源球実験装置や小麦粉断層実験については,下記拙サイトの教材のページをごらんください.

小麦粉+ココアの断層実験
 実験レシピと関連情報
http://www.yossi-okamoto.net/Fault_exp/index.html
震源メカニズム関連 震源球モデル 2014年JpGU横浜 2019百均モデル
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Univ/2015_Kaken/2014_Yokohama_Slinky.pdf
http://seagull.stars.ne.jp/2019_Focal_Sphere_Model/index.html
下の方が今日,実際にお見せしたものです.

断層との関連で,「新神戸駅」の構造については
活断層に配慮した山陽新幹線新神戸駅の構造(近藤  政弘)
という文献があります.リンクを開けてください.

国土地理院の活断層のページ(近畿編)は下記です.ここから全国もたどれます.
https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/08_kinki.html

大学近くの誉田山古墳と活断層の関係についての文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/zisin1948/39/1/39_1_15/_pdf

有馬−高槻構造線と活動評価,断層トレンチなどの報告書(図7がレジュメに載せたものと同じ図)
https://www.jishin.go.jp/main/chousa/katsudansou_pdf/76_arima-takatsuki.pdf

大学そばの亀の瀬の地すべりについては,下記のサイト.
https://www.kkr.mlit.go.jp/yamato/guide/landslide/study/history01.html

兵庫県の1mメッシュ数値地図のデータ処理については私が下記ページで詳しく書いています.ご参考に.
http://www.yossi-okamoto.net/DEM/index.html

なお,同種のデータ(1mメッシュ標高数値データ)について国土地理院に問い合わせたところ,これは国の事業ではなく,県独自の事業のようです.したがって他府県に波及するかどうかは未定です.

あと授業でみせたサッカーのウエーブの動画ですが,すみません,消されたのか今探せません.

Q&A.で津波に関する質問をいただきました.次の津波の話のあとで,まだ疑問に感じておられたら,また質問をしてください.

以前に質問いただいてまだ回答していなかったものを指摘されました.

Q.「里見八剣山モデル」を2次元に拡張した場合,ある場所のバネの強度を変える,あるいはある場所の床の摩擦の条件を変えるなどを行えば,実際の岩盤の強いところや弱りところを再現できるのではと考えるのですが.

A.大変興味深い洞察です.そのような条件変えは,数値シミュレーションでは,大変広く行われている手法です.それではそれが「里見八剣山」モデルのよう なアナログシミュレーション(実際の物質を用いたシミュレーション)で行えるかということを考えてみます.結論からいうと定性的にはある程度可能だと思い ます.ただ,たとえば防災などの目的に使う定量的な実験が可能かと言われると,大いに疑問がわきます.その理由は,アナログモデルを用いると,物体の運動 などで,思いもよらない摩擦や弾性の条件変化などが,決定的な結果を左右する場合が出てきます.別の言い方をすると,同じ実験をしても同じ結果が出るとは 限らないのです.これを専門家は再現性の問題という言葉で表現でします.つまり数値シミュレーションでは,とても厳密に摩擦や弾性などのパラメータを各場 所にあてはめることができます.数字を入れるだけですから.これを境界条件と呼びます.ところがアナログモデルでは,この物理量が条件によって,かなりひ どく変動する場合があります.たとえば床との摩擦をこの程度と考えていても,何かのはずみでそれが動かなくなったり,容易にうごいたりすることが出てきま す.そして八剣山モデルの場合は,1ヶ所の影響が全体に及びます.これが複雑系の特徴です.つまりアナログシミュレーションの最大の欠点は,こうした再現 性の低さと言えるかと思います.これで答えになっているでしょうか?

11/17 第6回

 今日の前半は指数関数の話をさせてもらいました.数学の話題は苦手は人が多いかも知れませんが,冒頭例に上げたように,人の記憶が指数関 数に従うという話は私にはとても興味深いです.これは「エビングハウスの忘却曲線」と呼ばれているので,興味のある人は調べてみてください.ここである期 間を置いて,繰り返し記憶することの大事さはよく生徒に話したものです.
以下にさきほどグラフで探した個人の方のサイトです.繰り返し学習の重要さが書かれています.
https://ameblo.jp/kaatsu-oyama-tochigi/entry-12248057871.html

ハ イパーインフレの話で出てきたジンバブエドルですが,私の持っているのは下記の写真です.右下のものが南アフリカのケープタウンの土産物屋でみやげとして 売っていた!もの.ほかは帰国後に某オークションで格安で入手したもの.お札の金額を表す数字に着目.来週,現物を持参します.




「ベンフォードの法則」については例えば下記のサイトの説明はわかりやすいです.
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=52647?site=nli

私が検べた例を上げます.今年5月に附属天王寺中学生に話をするために作ったデータです.

まずランダムに近い電話番号の最初のけたの数字の頻度分布です.しかし完全にランダムではありません.電話番号は確か,幾つかの選択肢を示されて選べたはずです.
飲食店では123の数字が最初に来ることが多いようです.4と9を持つ電話番号は忌避されていることがわかります.
飲食店のオレンジはやや「ベンフォード則」に近いかなという気もしますが.


それに対して明らかに「ベンフォード則」に従う例として,北海道の地方都市の人口の数字の最初の数字の頻度分布です.オレンジの理論値に近い分布になります.



次に地学教育が近いうちに絶滅するかも知れないという話をしました.その元ネタの学会発表は以下です.これも興味のある人は覗いてください.

なお,この話は誤解されやすいところなので,特に強調しておきますが,私は何も日本の「地学教育」が市場原理に沿って,絶滅すればよいと言っているわけではありません.むしろ絶対に後世に残したいと思っています.た だそのためには同業者(ここでは地学教育の業界にいる人たち)に,この科目は大事だから,生徒に教えるべきだという「べき論」だけを唱えて,机にふんぞり かえっている状態だけでは,必ず説滅しますよ.といういう説教を垂れようとしているわけです.ある種の「企業努力」が不断に必要だと言いたいわけです.誤 解のないように.

Yoshio Okamoto: Controversy-based Earthscience, GeoSciEdV Bayreuth 2006 abs,51
岡本義雄:モデルを意識した地学教材,特に地震分野,地球惑星科学関連学会2004年合同大会セッション報告「新しい地学教育の試み」64-75, 2004
岡本義雄:論争地学試論,日本地球惑星科学連合2006年大会CDROM,2006

中村修二さん(青色発光ダイオードの発明者)が米国の大学に呼ばれて,最初の講義で死ぬほど緊張した話は,以下です.これは将来外国で仕事をしようと思っている人は必読です.
https://www.enago.jp/drnakamura/
次の話もとても参考になる.
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/1606/10/news098.html

次に気象現象は「カオス」の例にあたるという話をしました.カオスという科学用語は,方程式はあるのに,その現象の予測は初期値に敏感で,初期値がわずか に異なると予測が大きく異なるような現象を示しています.ほかにも例があるので「カオス」をキーワードに探してみてください.
カオスという現象は,ある分野の自然現象は,いかに精密に観測しても,観測誤差が有る限り,自然現象の将来予測は難しいですよという話をしています.

気象予報における予報の誤差などの例を説明した気象庁のページは下記です.
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kisetsu_riyou/method/ensemble.html

授業で使ったエクセルファイルは下記です.初期値を色々と変えて試してみてください.(これは上記の気象の方程式ではありません.カオスの性質がわかりやすい漸化式の例です)
http://yossi-okamoto.net/Univ_Lec/2021_AS/chaos_05.xls



地震のメカニズムの話は結構難しかったかとも思います.地震のP波初 動の4象限の話は,今日の話では,地面の初動の上下方向だけに注目しましたが,実際には水平方向にも動いています.この動きから地面が震源に向って吸い込 まれる動き(引き)か,震源から押し出される動き(押し)かが区別されるのです.地図上にプロットすると今日の神戸の地震の場合はこれがとてもきれいな4 象限になりました.これはたまたま神戸の地震が地震を起こした主応力(地下のもっとも強い方向)が東西にほぼ水平だったからです.実際にはこの主応力の方 向は地面に対してはまちまちとなり,この押し引きの象限の形は複雑になります.神戸の地震はこれが本当にきれいな4象限になるために教材で使っています.
この主応力の方向と断層のタイプの違いについては来週最初に,これまた私が作った教材で詳しく説明します.

気象庁の下記のサイト(発震機構解とは何か,発震機構解と断層面)が比較的わかりやすいかと思います.
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/mech/kaisetu/mechkaisetu.html
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/mech/kaisetu/mechkaisetu2.html

これは来週また詳しく説明します.

以下,補遺です.昨年のページより以下を引用します.
前回の八剣山モデルの動画を追加しました(2018年の幕張の学会用に撮影したものの一部です).個々のブロックの動きがわかりやすいと思います.
http://yossi-okamoto.net/Univ_Lec/2020_AS/Hakkenzan.mkv

また複雑系とは何かを昔,高校生用に解説した資料を下記にアップしました.複雑系の概要を知りたい人は読んでみて下さい.
http://yossi-okamoto.net/Univ_Lec/2020_AS/Complex_System.pdf

Q&A.

Q.指数関数の話で,この関数は0に近づくはずですが,永遠に0にならないのではと思います.それなのになぜ生物は「絶滅」するのですか?
A.結構面白い指摘です.0に近づくと数学の世界では,1を割ってしまいます.つまり小数になってしまいます.ところが現実の生物に小数の個体数はいません.個体数は整数ですよね.減ってくると1か0になります.つまり最後の1匹(羽)がいなくなると絶滅するわけです.
Q.地震が断層で生じるのだとすれば,なぜ予測ができないのですか?単純に考えると断層のそばに住まなければよいということにはなりませんか.
A.こてもとても重要な指摘です.まず活断層ですが,地表から明らかにこれは活断層だと発見できる場合とそうでない場合があります.つまり隠れた活断層も 存在します.これがまず1つ.次に仮に活断層の場所が全部わかったとして,次の地震がかならずいずれかの活断層で生じるかどうかはわかりません.新たに断 層を作ってそこで発生するかも知れません.これが2つめです.次にさらに仮にそれらの可能性のある場所が全部わかったとして,その数は膨大になります.そ のどこに次の地震が起こるかをどのような方法で推測するのかというのは次の問題となります.そのために地震の研究者は,どこかにそれがわかる方法がないか と日夜研究しています.
Q.地震の予測ができないのなら,地震の研究をしても仕方がないことになりませんか?
A.これも大変興味深い質問です.それでは逆に科学は予測できることだけを研究すればよいのかという話になります.あるいは日常生活とまったく無関係の分 野は研究しても仕方がないことになってしまいます.天文学とかはそういう意味で,日常の範囲を越えていますが,いつかその成果が我々のどこかで役立つと研 究者は考えて研究していると思います.文学も同様になにかの役に立つかと言われると,うーんとなりますが,それでも源氏物語を研究する意味はどこかにある と私は思います.答えになったでしょうか?


11/10 第5回

今日の話は,G-R則という地震に関する基本的な統計則が,他の学問分野にも波及するという話でした.その中で複雑系の話が出てきます. 今日とりあげた例も,私が自分や生徒と一緒に探した例が多く,ほとんどの統計のグラフは私と共同研究した高校生のオリジナルです.
1990年代にその当時,この複雑系の考え方で,砂山モデルに関する独自の拡張を博士論文に書かかれていた大学院生(当時)と知り合ってから,「複雑系」 の虜になりました.当時この種の話はそれこそ「飛ぶ鳥を落とす勢い」で研究者の間に広がって行ったのですが,その後現在では少しおちついた印象です.
幾つか参考URLをご紹介すると,

COVIS-19に関して私が昨年の巣ごもり期間に,計算したプログラムが下記にあります.当然私は感染症は全くの素人ですが,碁石モデルの考え方の応用 が感染症シミュレーションに使えるということを示すものです.もちろん感染症のシミュレーションは他にもたくさんありますので,これは大変状態を簡素化し た一つの考え方だということは気をつけてください.またこれは碁石モデルそのものではありません.専門家のシミュレーションの仮定や条件を使っています が,感染が碁石モデルと同様に,ある点(感染者)とそれを取り囲む点(未感染の人間)との接触の際に,ある確率で生じると考えています.碁石モデルと異なるのは,感染した人はある時間で回復して免疫を獲得するという点が計算に入っています.

私のHPより,(下のリンクをクリックしてください.

2020-05-05 教材用各種シミュレーション(英文ほか) 
         風紋   コロナ感染1 その2 その3   鳥の群れ1 その2

次に「フラクタル」とZipfの法則についてです.
フラクタルというのは,べき乗則が成り立つ,図形で主に使われる言葉です.この幾何学の創始者マンデルブローが日本に来た時の様子が下記にあります.これ 古い附属高校のHPに入れていたのですが,時間が経過して,古いページは閲覧できなくなったので,今回私のサイトに移しました.
http://yossi-okamoto.net/misc_resources/2005_ss/Mandelbrot.html

Zipfの法則は,今日少しお話した,企業の売上や,Webサイトの閲覧数や,YouTubeの動画の閲覧数などで成り立つ,順位(ランキング)と売上や 閲覧数との関係が,これまた両対数グラフで直線(つまりべき乗則が成り立つ)になるという社会現象で言われている法則です.
詳しい資料は下記の論文なのですが,英文です.
http://tuvalu.santafe.edu/~aaronc/courses/5352/readings/Newman_05_PowerLawsParetoDistributionsAndZipfsLaw.pdf

さらにFortune Global 500は下記サイトからエクセルファイルがダウンロードできます(メールアドレス登録が必要かも知れません).
https://www.someka.net/excel-template/fortune-global-500-list/
ダウンロードの必要がなければ本家サイト
https://fortune.com/global500/

また近年の比較表(1990-2017,データはwikipedia)
http://yossi-okamoto.net/Univ_Lec/2020_AS/Gobal_500_past.png

大学ランキングは下記サイトです(こちらは来週紹介します.権威ある大学ランキングサイトは幾つかありますが,来週の資料は下記のTHEという英国のサイトものです).
https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/2022/world-ranking

最後の方で少し紹介した,私の製作の「バネ−ブロックモデル」の学会報告は以下です.
岡本義雄:教材化バネブロックモデルの改良とその解析-南総里見“八剣山”モデル-,日本地球惑星科学連合2018年大会予稿集,2018
http://seagull.stars.ne.jp/2018_JpGU/Hakkenzan_final.pdf
岡本義雄:地震発生を模する「2次元バネブロックモデル」アナログ教材の製作と解析,日本地球惑星科学連合2015年大会CDROM,2015 
http://seagull.stars.ne.jp/Articles/Japanese/2-dim_Block_model.pdf

今回は説明が中途半端になったので,次回指数関数関連の話,およびカオスの説明を少し補填する予定です.Moodleの方にも次回の資料などをアップしますので,またときどき覗いておいてください.

それではQ&Aです.

Q.米国がなぜ昔も今も,企業ランキングで1位を走り続けられるのですか?先生の意見を聴きたいです.
A.とても難しい質問ですが,たとえば大阪と東京を比べると,東京に行きたいと思う若者が多いのと同様,世界ではどこで働きたいかと聞くと,米国で働きたいと答える人が多いからだと思います
私も,ほとんど自分の人生に悔いはないのですが,もし今20代の若者であれば,米国を目指すかも知れません.「べき乗則」は結局1人勝ちのネットワークを 作ってしまいます.自由競争下に置いた様々なパラメータの時間推移を計算すると「べき乗則」に従うというシミュレーションを聞いた記憶があります.まだ上 記の質問に答えきれていませんが,キーワードは米国の出自や国籍を気にしない多様性と,失敗を恐れない企業風土だと思えます.

Q.すべての関係が「べき乗則」に従うのではないですよね?
A.当然です.今日ご紹介したのは,たまたま「べき乗則」にきれいに乗る例ばかりを精選しています.
当然「正規分布」に従う例も多く,また来週紹介する「指数分布あるいは関数」に従う例もとても多いです.
宿題の「べき乗則」を探す課題に取り組むと,あれーうまく行かないかということになるはずです.期待しておいてください.

※ 次のページに「べき乗則」のグラフ(散布図)の作り方を特集しました.参考にしてください!
http://yossi-okamoto.net/Univ_Lec/2021_AS/Making_Power_Law.html


10/27 第4回

下に書いている,異常震域の地震の例を紹介するのを忘れてしまいました.次回紹介します.

今日の話の中で,大森の余震公式の話が少しでました.これ要するに大きな地震の直後は余震が多数発生するが,時間経過とともにその数が減少するという内容です.
東北地震以外の例のグラフをここで紹介しておきます.縦軸が余震(有感地震)の回数,横軸が地震から経過日数です.



また次回以降にお話しますが,世の中の自然現象で,何かが減っていくという現象では実は,両対数グラフで直線になる「べき関数」ではなく,片対数グラフで直線になる「指数関数」での減少の例が多いのです.

たとえば,福島の原発事故で問題となった,放射線の量は,きれいな指数関数に従って減少します.
コンデンサという電子部品に蓄えられた電気量も,きれいな指数関数で減少します.
人間の記憶も「エビングハウスの忘却曲線」と言って指数関数で減少することが知られています.

それに対して余震の数は,「べき関数」(つまり反比例)の関係で減少します.これが大変不思議なところです.「べき関数」は「指数関数」と比べて,最初の 減り方は早いが,時間を長くとるとむしろ減り方が小さくなる,つまり長く影響が残るという特徴があります.つまり執念深い関数なのです.
このあたりの話は次回にお話します.

今日最後に行った「碁石ゲーム」については,下記が私の古い研究報告です.こうした科学的な文章をきちんと研究論文の形で書いた最初のものです.ご一読ください.

岡本義雄:地震のシミュレーションと地震予知-”碁石モデル”の教材化- ,大阪と科学教育 11,21-26,1997
※なお,この記事の最後の方にある,確率論的モデルと決定論的モデルという用語は,この記事では使い方が少し間違っています.書いた頃にはあまり深く考えなかったからです.訂正しておきます.

Q&A
Q.50年を10倍すればM9が1回くらい生じても,おかしくない.だから2011年東北沖地震は想定外ではないという話ですが,そうすると時間を100倍にするとM10があるのですか?
A.これとてもよい質問です.少し前回の授業でお話したのですが,ここまでくると地球という惑星のサイズの問題(幾何学的限界)が見えてきます.東北太平 洋沖地震は大体100x500kmくらいの範囲が震源域(これはまたお話しますが壊れた断層の範囲)が,この地震で破壊したと考えられています.M10だ と大体この震源域の10倍のサイズが予想されます.地震の起きる深さは限られている(岩石が壊れる性質を持つはんい,深さ40km(断層の幅はもっとある が斜めに傾いているので深さはこれくらい)くらいまで,深発地震はまた別のメカニズムで生じるのでこの際は考えない)ので,震源域は横に広がるしかなく, そうすると震源域の長さが5000kmになってしまいます.これはつまり約6400kmしかない,地球の半径に匹敵する長さです.そんな大きな地震が本当 に生じるのかというのは,専門家でも意見が分かれています.その上はという話しは,前回お話したように,最後の授業の方でお話します.それではなぜ東北の 地震の前にM9が予想できなかったのか?という話は,続きの講義でお話する予定です.

Q.地震に関して,しっかりした経験則(何故か理由はわからないが,経験的に成り立つ法則)は2つしかないと言われましたが,なぜそんなに少ないのですか?
A.これが地震という現象の不思議な所です.なんかでたらめに起こっているようで,実は2つの法則に従っている.しかしその理由は完全にはわかっていない.としか答えられない難しい問いですね.

Q.今図書館で脳科学の本「複雑な私」を借りて読んでいます.先生は中高生などに授業のときに,この本の脳の話などをどのような形で生かしていますか?
A.さっそく読んでくれたありがとうございます.この本は私にとっても衝撃的な本でした.それで私は従来,授業の中でそれまであった常識が覆るときに,生 徒はとても興味を持ってその内容を勉強するということを経験的に知っています.つまり「意外性」が授業をすすめる上でとても重要だということです.その意 味でこの本に書かれていたことは,それまでの常識を覆してくれたことが多かったです.地学の授業ではそれまで生徒が漠然と考えていた常識,が授業の中で覆 る内容などをいつも探しているのです.私の一連のこの講義の中でも,そういった内容をこれからも,多数紹介するつもりです.これで答えになったでしょう か?


10/21 第3回補遺
昨日「異常震域」の話が出ましたが,今夕早速のその地震が起こりました.
https://www.data.jma.go.jp/multi/quake/quake_detail.html?eventID=20211021174327&lang=jp
東海沖の地震ですが,おそらく沈み込む太平洋プレートに関係する深発地震で,関東から東北に典型的な「異常震域」が出ています.
ご参考に.

それと昨日ちょうど講義をしていたころに,阿蘇山でやや大きな噴火がありました.火砕流も出たようです.動画から観る限り,典型的な「マグマ水蒸気爆発」という種類の噴火です.
また火山のところでお話します.
さまざまなニュースで引用されている噴火の動画はこちらです(少し長いです).火山博物館が入る建物からの撮影ですが,駐車場の人が噴火をみてあわてて避難を始める様子なども映っています.火砕流がここまで届かなかったのは,本当に運が良かったという感想です. 
https://www.youtube.com/watch?v=2kc0xCm2pXU

あとMの計算尺(ノモグラム)は私はPythonという最近流行りの言語で初めて作ったのですが,このPyrhonに関して,近頃ネットで話題の教科書があるようです.
京都大学が無料で公開しているそうです,

※現在、最新版である「プログラミング演習 Python 2021」「プログラミング演習 Python 2021(コラム編)」が公開中です(※10月21日 10時46分加筆)。
https://ledge.ai/kyoto-u-ac-python/ より引用.


10/20 第3回

まず寺山修司の話に出てきた,大阪教育大学出身の演劇の方は
http://ishinha.com/matsumoto/index.html

気候学者の増田耕一さんのtwitterは現在みつからないので個人サイトは下記
http://macroscope.world.coocan.jp/ja/

ベンチャー企業代表高橋祥子さんのtwitter
https://twitter.com/Shokotan_takaha

「かしこさの階段」
最初にみつけたのは下記の小学校の先生のブログから,
http://manabitudukeru.seesaa.net/article/449635834.html
もう一つは,マーケターの方のブログですが,今ちょっと探せない.
https://iwata.nyny.co.jp/

カーンアカデミーのTED動画は
https://www.ted.com/talks/sal_khan_let_s_use_video_to_reinvent_education

ここから地震の話

震度の話で,震度の定義が,昔から現在にかけて,変わってきたとコメントカードの書かれた方がおられました.実は震度の定義は変わっていません.その震度 に相当する身の回りの現象の記述が現代的に変わっただけです.つまり石灯篭がなくなり,障子が無くなった分,もっと現代的な表現に変わっただけです.これ 資料があまり詳しくなかったので,今日のPPTの表を下に載せます.

1996年(平成8年)の比較表(左が1996年からの新らしいもの,右がそれまでの古いもの)
震度5と6を強弱2つに分けた.なお1996年は兵庫県南部地震の翌年になることに注意.



1996年10月1日運用開始:さらに細かな現象の説明を追加した.
●気象庁震度階級関連解説表



※現在,震度の測定は全部器械に置き換わっています.もう震度測定のために,気象台で寝ずの番をしている人はいなくなったわけです.

マグニチュードの話は次回に続きます.とくに対数の話を少し次回にします.
隕石衝突の話は第14回あたり.
月の起原の話もそのときに

ノモグラム(計算尺)を作ったプログラムはPythonのものですが,もともと下記のサイトにあったものを改良しました.
http://lefakkomies.github.io/pynomo-doc/types/types.html

作り方の詳細は下記に記述しました.
岡本義雄:マグニチュード算出用ノモグラムと使用法,地学教育 71,13-19, 2018

次にQ&Aです.

Q.核爆発などでも地震が起きるのですか?
A.起きます.これとても重要な質問で,これからの授業で少し時間を取って実際の例もお見せして説明します.


10/13 第2回

まずランダムの話は下記の最後にまとめています<参考>地震予知の周辺(偶然さとは何か).ちょっと次次回のネタバレになるのですが.

岡本義雄:地震のシミュレーションと地震予知-”碁石モデル”の教材化- ,大阪と科学教育 11,21-26,1997

「テキサス狙撃兵の誤謬」はWikipediaの解説が1番わかりやすいです.

池谷裕二さんの脳科学の本
http://gaya.jp/media/index.html
この中では少し古い今日ご紹介した「単純な脳,複雑な私」(私が勝手に青本と呼ぶ)がおすすめです.古本だと安いですね.

我々の祖先のアウストラロ・ピテクスの化石が発見されたサイトへの私の巡検記は下記です.
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Univ/SA2002/SAtour_0/SA_daytour.html
ほかの外国地質巡検の記録は下記をごらんください.
http://yossi-okamoto.net/Foreign_Trip/index.html

地震の震源を求める作図の今日おくばりしたものは,下記にPDFがあります(コメントカードでこの資料がほしいとの希望がありましたので).
解答もあるのですが,それは次回に紹介します.

★開発した学校用波形教材 「震央の決定とマグニチュード推定」 問 題
(B4で印刷するとちょうどよい大きさです)
この実習教材の研究報告は以下です.

岡本義雄・古田佐代子・廣田伸之・佐藤雄亮:気象庁59型地震波形記録を用いた波形教材,地学教育 69,125-137, 2017
もし今日の作業で面白いと感じた人向けに,ほかの地域のものを教材集としました.

気象庁59型地震計波形教材集(印刷のとき,タイムマーク間が正確に60mmになるように印刷あるいはコピーしてください.
http://www.yossi-okamoto.net/Seismograms/JMA59type_Seismograms_2018.pdf
地図を印刷するときの縮尺にも注意してください.10km=1cmなど適当に縮小や拡大してください.

大森係数として載る教科書の値への疑義に関する研究報告.
加藤護・岡本義雄:理科教育で用いられる距離に関する大森係数について,地震 第2輯 69,35-39, 2016

Q&A.コメントカードにあった質問とかです.

Q.地震の波の速さは,地形や地下の物質の影響を受けないのですか?
A.これとてもよい質問です.実は影響をうけます.今日使った大森公式は,地下の地震波の速度がどこでも一定であるという仮定のもとにのみ,なり立ちます.
私の教え子の佐藤くんはそれを逆手にとって,大森係数の地域によるちがいを見つけようと考えました.つまりそれは地下の構造の違いに発展するからです.
別の教え子は,火山地域(たとえば九州の阿蘇山)での大森係数のちがいを調べました.火山の地下にはマグマ(液体)が存在するため.地震波速度に変化がある?

Q.乱数の話で,計算機の出す乱数は本当の意味でのランダムではない!ということを指摘してくれた人がいました.
A.これ本当です.ただ,どこまでの精度で計算するかによります.
実際には真の乱数に近い精度の乱数の計算方法は,それこそ星の数ほど考えられていて(嘘です!それほど多くはありませんが),優れた手法はそれだけで博士論文になるはずです.
私の計算もあくまで,ふつうの計算機の乱数が真の乱数に近いと考えて使っているにすぎません.ほとんどの世間のシミュレーションもそうした計算機の乱数をそのまま使うものが多いです.

A.アンサーの続きです.これ自然現象の予測可能性の話と繋がるのですが,もしある自然現象がランダムに生じるとすると,その予測は原理的にできません.ランダムな現象=予測不可能です.
しかし計算機の乱数は,実は複雑な計算式で作られています.式があるということは予測可能だということです.つまり計算機の出す乱数はどこまで行っても, 予測不可能とはならないということになります.これらは,私は全く詳しくないのですが,ある種の暗号解読と関係します.つまり絶対解読不可能な暗号は作れ るのかという問題とよく似ているように思えます.
参考サイト:https://web.wakayama-u.ac.jp/~tokoi/lecture/seminar2/

Q.地震の予測が難しいという話を最初の時間にされましたが,将来的にも場所を予測することは難しいのですか?
A.場所のおおまかな予測は可能です.やはり陸域では活断層の近く,海ではプレート境界が世界的に観ると地震がおこりやすいところです.
ただ日本のように至る所に活断層があるようでは(あるいは地域によっては地表に出ずに隠れていては),その場所の特定はとても困難だという話です.これはまた数回後にお話します.

Q.日本沈没のTV番組を見始めています.これについては?
A.ちょうどよいタイミングでTBS系列で日曜夜に「日本沈没」が先日から始まりました.私も楽しみで初回を見ました.なかなかよくできていますね.私の 印象では書籍版「日本沈没」+映画「シン・ゴジラ」という印象です.書籍版は1973年の出版です.第一次石油ショックということであらゆるものの値段が 上がり(インフレ)世間が殺伐としだしたときに出版されました.私は学生時代でしたが,もちろん初版に近い版で読みました.現在はすでにどこかに行ってし まいましたが,本当によくできた作品だと思いました.自然科学だけでなく,哲学的あるいは社会学的にも本当に考えさせられる作品です.
「日本沈没上・下」小松左京著/光文社文庫,今みるとAmazonにも中古本がありますが,高いです.街の古本屋を丹念に探すと安いのが残っているかも知れません.Kindleで読むのもよいでしょう.
映画化は私の知る限りメジャーなのは2回です.
1973年の初代.藤岡弘、,丹波哲郎という重鎮です.この1年あとにTV版もあったようです.
次が比較的最近の2006年版です.こちらはご存知の人も多いかも知れません.SMAPの草なぎさんが主演でした.科学者役は豊川悦司です.
ときどき授業でネタバレにならない程度に解説をするかも知れません.

あと最後の方で述べた「指導要領」の引用文献の件は,私が自分の報告を書く際の方針であって,それを引用する世間の研究者一般を批判しているわけではありません.念のため.

本日は大体以上です.メールやMoodleで質問をいただいてもかまいません.


10/8 関東の地震(補遺)

10/13の授業でお見せする動画(震央に近い,荒川の国土交通省のカメラが捉えた地震の瞬間)
魚と鳥の挙動に注目!
https://twitter.com/mlit_arakawa_ka/status/1446343533342838786
それに着目して震源までの深さを計算した.NEIDのPD三反畑修さんのツイッタ(当該ページのViewをクリック)
https://twitter.com/osm3dan/status/1447392510817439748/

気象庁の震度分布図
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#9/36.749/138.402/&elem=int&contents=earthquake_map
これと,2005年の地震との類似性を指摘した大木聖子さんのツイッタ
https://twitter.com/toko311/status/1446121129169416196/photo/1

あと,また追加情報はここに上げます.

10/6 第1回


講義の関連サイトの紹介です.
話題にした個々の地震については,まずwikipdiaで調べて関連サイトに飛んで下さい.

お知らせ:
京都大学防災研究所 阿武山観測所の一般公開として,次のイベントが10/10-11に予定されています.地震観測に興味を持たれた方は行かれてはどうですか?
(2つ目のリンクによると,JR高槻駅前から,無料の送迎車,定員8名が準備されているようです)
https://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/news/15264/
https://abuyama.com/NEW/events/weeks2021.pdf

授業で紹介した3D震源地図ですが,立体視の原理はわかったでしょうか?まだしばらく答えをかくのは控えますので,ぜひ皆さんで議論してください.
ニュートン以来の簡単な光学の原理なのですが,結構説明は難しいですよ.

授業で紹介した火山の動画ですが,以下から見れます.

雲仙普賢岳(1991年6月3日):授業で見せたのはNational Geographc Video「Volcano」の一部ですが,これは著作権の問題で公開できないので,
かわりにYouTubeに公開されている噴火当日のANNNewsをどうぞ.
https://www.youtube.com/watch?v=e6xRmcwXK4c
A Day in Pompeii, Full length version)
https://www.youtube.com/watch?v=dY_3ggKg0Bc

地震に関する代表的なサイトを紹介します.

まず政府の地震調査研究本部のHPは下記です.
2008年の地震動予測地図については厳しいことをいいましたが,現在,日本でおこる被害地震についてはもっとも詳しいサイトです.何か地震について調べたいときはまずここから.
https://www.jishin.go.jp/

日々生じている地震については,気象庁の次のページが役立ちます.
http://www.jma.go.jp/jp/quake/index.html

また世界の地震は
https://earthquake.usgs.gov/earthquakes/map/

私が英語の勉強を本格的にするようになったきっかけについては,下記の文献に少し書いています.
http://seagull.stars.ne.jp/Articles/Japanese/Martian_C.pdf

日本人の英語の件,国際学会での日本人の英語が聞けるのはたとえば下記のサイト.
https://www.youtube.com/watch?v=D1BCLMRNkSM&ab_channel=AGU

この学会はアメリカのサンフランシスコで毎年12月に行われる,2万人規模の地球物理学をバックグラウンドとする研究者の集まりです.
この年は春の3月に東北太平洋沖地震が起こったので,それの研究発表がたくさん行われました.
日本の地震学で有名な人はほとんど研究発表したようです.この東北地震のセッションは1から4まであるので,探してみて下さい.
私もこの学会に参加して別の教育関連の発表をポスターで行ったのですが,このセッションは全部,部屋で聞いた記憶があります.

さらに,サイエンスにおける英語では,我々が英語で1番気にする発音なんか2の次だよ
という好例をノーベル賞の真鍋先生のインタビューから
https://www.youtube.com/watch?v=Y_cdtWVr5M0

タイでの生活の様子に興味があるというコメントを何人かの方からいただきました.
タイでの私の仕事は下記のサイトにページを作っています.外国で仕事をしたいと思っている人には参考になるかも.

KVIS 写真日記2019 http://yossi-okamoto.net/KVIS/2019/KVIS_Photo_diary_Part1.html
PCSHS Mukdahan日記2019 http://seagull.stars.ne.jp/2019_Mukdahan/Mukdahan_Photo_diary_Part1.html
KVIS 写真日記2018 http://yossi-okamoto.net/KVIS/2018/Photo_diary_Part1.html
KVIS 写真日記2017 http://yossi-okamoto.net/KVIS/2017/Photo_diary_Part1.html 

あと私のHPには様々な日本および世界の地質巡検や学会参加などの報告を載せています.ご笑覧ください.
http://yossi-okamoto.net/

糸電話をタイの高校生に見せた様子をここに載せます.
詳しくは
http://seagull.stars.ne.jp/2019_Mukdahan/Mukdahan_Photo_diary_Part3.html
をどうぞ.

 file:///data2/Desktop_old/2019_Mukdahan_Photos/Huawei/img_20190918_150531.jpg
これが拙作のiPhoneXIIです.何のことはないただの糸電話なのです
つまり実際の複雑怪奇なiPhoneの原理は実はこんな簡単なものですよ,と解き明かしていく過程がScience その逆に一旦発見された単純な原理から,複雑な人の役に立つ工業製品を作り上げていく過程をTechnologyだと言いたかったのです.


これらのことで質問は遠慮なく yossi.okamoto あっとまーく gmail.comまで.

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