2017年KVIS写真日記その
Facebookで公開しているKVISでの写真日記を少し編集して,こちらでも公開します.

その2はこちら
その3はこちら
その4(余録)はこちら

まず職場の紹介と,そのあとの2週間めの金曜日.こちらで地質見学サイトを探すための下見に行きました.
これは附高でやっていたように,かならず本物を見ることを基本にしたいからです.残念ながら,こちらは熱帯であることと,起伏に乏しいことから,良い露頭があまり近くにありません.
ただ今回買いものに行く途中で見た崖が良さそうだったので,2カ所下見に行きました.その時の写真を貼ります.こんなものは地質の好きな人しか興味ないで しょうが.あまりこの地域の詳細な論文はないのですが,どうも深海性のタービダイトではないかという指摘があります.時代はおそらくペルム紀からトリアス 紀.化石はざっと見たところ見つけることができません.岩石の種類は砂岩と泥岩が主です.微妙な堆積構造が見れます.
 その後,場所を変えて本格的な,地質巡検にもでかけました.いずれも学校が車を出してくれます.運転手も1日仕事で運転をしてくれました.おかげで論文 だけを頼りにでかけた場所で偶然にも森林組合のボスに会い,そのおかげで石炭紀の貴重なサンゴの化石を採取できました.その他に授業の様子や交換学生の様 子など,私の滞在の前半のエピソードをご紹介します.
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タイの職場(高校,KVIS)の全景です.Rayong県のWangchangという街の近くにあります.広大なPTT(タイ石油公社の土地に高校と大学院大学が隣接して3年前に建てられました.日本で言えばさしずめ筑波学園都市をめざすという風情ですか. キャンパスにGooseがいるのが面白いですね.放し飼いになっていて,教職員住宅にもよくやってきます.でもところかまわずフンをするので遊歩道を歩くときは要注意です.
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この池は以前からあった天然の池だそうです.VISTECと呼ばれる隣接する大学院大学のキャンパスには人工池があるのですが.
化学の教員室の自分の机とかです.なぜか自分(地学)と物理のNZから来てすでに20年タイに住んでいるというI先生は,化学の部屋に間借りしてます.
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Kleangという街に買い物に出る途中でみかけた崖に地質の下見に行きました.露頭の全景です.車道から少し奥まったところに広大な石切り場のような露頭がありました.
暑い中を露頭をチェックします.崖の上方は熱帯の風化のためか紅い色をしています.
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砂岩と泥岩の互層のように見れます.どうも深海性のタービダイトではないかという指摘があります.時代はおそらくペルム紀からトリアス 紀.化石はざっと見たところ見つけることができません.岩石の種類は砂岩と泥岩が主です.微妙な堆積構造が見れます. 微妙な堆積構造です.スランピングのような細切れの構造が見れますね.
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使っているP社のPCの電源アダプタが突然壊れたので,急遽土曜日に車で1時間のRayongの街の電気街を訪ねました.カウンターパート(CP)のTさんに泣きついて急遽連れて行ってもらいました. 秋葉原のような電気街で驚きました.地方都市にもこんな店が並んでいました.この店で電源アダプタを2000円弱で買ったのですが,これは後述するようにとんでもない代物でした.
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PCパーツもあふれていて何ら秋葉原と変わりがありませんね.
雑然と箱やパーツが積まれている店が雑居ビル内にあふれています.
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私の紹介の紙が掲示板に貼ってあります. 履歴書には大学での特任の履歴も書いたので,肩書きがAssoc.Prof. になってます(笑) ある休日の昼下がり,突然停電になりました.停電の原因がよくわかりませんが,何か学校の近くで燃えています.昨年冬以来3度こちらに来ましたが,こんなのは初めてです.でも学校の警備の人たちもごくのんびりしたもので,私だけがあれ火事と違うの?と慌てていました.そういえば,昔附高の百キロ徒歩の折,柳生の里で私が民家の家事を見つけて村の人に知らせたのですが,いや,たき火だろうと全然気にしてもらえなかったのを思い出しました.(後述,これ結局近くの国道の石油を積んだトラックの衝突事故で車と電線が燃えたのが停電の原因だったとか.気の毒に運転手も亡くなったとか聞いた)
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今日は3連休の初日で帰省する学生も多く食堂はガランとしています。今やっと電気が復旧しました。 車で15分ほどの近所の市場の様子です.火曜と木曜の夕刻開いているそうで,広大な敷地に食品から雑貨までありとあらゆるものが売っています.私はパパイヤやマンゴを探したのですが,今回はなかったようです.百均のような雑貨やでトレイやガムテープを買いました.
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赤のドラゴンフルーツです.ローカルな市場でカウンターパートのTさんが買って切って持ってきてくれました.結構一度に食べたので,その次の日にトイレの水が赤紫色に薄く染まっていて,一瞬血便が出たと驚きましたが,このフルーツの色素のいたずらでした. 市場が開かれる近くのローカルな食堂です.雷雨の中をみんな気にすることなく食べています.雷雨がひどくなり途中で停電しましたが,全然気にせずにみんな食べています.高校の若い職員や先生たちとテーブルを囲みました.主菜はこちらではおなじみのパパイヤサラダ(右の皿)です
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授業の様子を同僚の先生が撮ってくれたので何枚かを紹介します.教え ているのは高校3年生の全4クラスです.4クラスと言っても1クラス18名ですからとても小規模です.各クラス50分授業が週に4回ありますから,16コ マ/週です.日本と変わらないですね.これは今年だけ私が大学の授業の関係で2ヶ月しかこちらにこれないからです.ゲストティーチャーは通常はこの倍の時 間でこなすようです.16コマをすべて英語ですから,準備も大変で,今週末は3連休だったのですが,すべて出勤して誰もいない教員室でひたすら資料を作っ ていました. これでほぼクラス全員です.制服は白と黒の通常のものと,今着ているようなラフなものとあります.青紫と緑がスクールカラーです.教室もまだ建ってから3年目なのでとてもきれいです.このクラスは4クラスの中では一番相性のよいクラスで,寝る子がいませんね.前のこのクラスの授業で物理の老齢のVisiting Teacherが見てくれていて寝ている子がいないと感心してくれたのですが,それはたまたまということで(笑).
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ちょうどS-P時間を用いた地震の震源決定のところです.タイは地震があまりないので,日本で作った資料を使っています.コンパスで結構きれいに作図してくれました.こちらの生徒はみんな普通に定規やコンパスを持っているみたいです.ただ忘れている生徒もいたので幾つかをこちらで準備しました. こちらがM(マグニチュード)の説明とその測定実習をこれから行うところです.私と大阪管区気象台の方で作った実習用資料を英語に直したもので,波形の最大振幅を測ってMを推定します.この実習の様子を見ていたこの高校のアドバイザーの大学の先生がとても感心してくれました.
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これは地震の一つ前に行った火山の話のときに,火山灰のサンプル(赤玉土とAT火山灰)を双眼実体顕微鏡で見せているところです.器用にスマホを使って写真を撮ってくれています.日本での授業と同じくクラフト夫妻の撮ったナショジオの火山のビデオを見せています.雲仙で彼らが亡くなる火砕流のシーンではやはりみんな息を飲んでしましたね. 地学専用の教室はないので,一般教室と化学実験室の両方を使っているのですが,こちらは一般教室です.日本のようにHRというのはありません.大学と同じで部屋を渡り歩きます.一般教室は左右に広いスペースがあってそこでくつろいだり,実習用の器材を置いたりできます.向こうで見てくれているのがカウンターパートの化学のJ先生です.北大で生物化学で学位を取り,ポスドクとして修士以来計7年も日本にいたので,とても日本のことをよく知っていて時々日本語の相手をしてくれます.
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今 週は忙しい週で,いつもの4クラス×4トピックの16時間に加えて,水曜に物理の部屋で頼まれた地震計の講座(1時間)と先々週の月曜日の休 日で流れた分の特別講座「Lesson from the 2011 Tohoku and 1995 Kobe」といういう講座が同じ日に入ってとても忙しい週になりました.地震の講演は確か54期生だったかに東北の地震の直後に小講堂で英語の講演をした ものを土台にしました.それで今日は金曜でやっと授業のない日となったので,久々に地質の下見に行きました.いつものTang先生だけでなく,化学のゲス トできている米国からのDr.Mira先生も同行しました.その写真を上げます.車で出発する前に生物の英国からの先生が見せてくれたのが道路にいたとい う大きな陸生の貝です.さすがに熱帯.生物の先生なら喜ぶところですが.

学校の車で1時間半ほど東北方向に走って,到着した道路際のサイトは,石炭紀のサンゴがあるというある論文の記載で推定した場所なのですが,残念ながらこのサイトは違うようです.それでもせっかく来たのでとりあえず岩石を採集.T先生とM先生も暑い中を頑張っています.
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道路際にこんな感じの露頭が幾つか連続します.Goodle Mapであらかじめ露頭のある場所を目星をつけておきましたが,残念ながら泥岩と砂岩,礫岩のようで目指す石灰岩らしいものは見つかりません.かなり風化が激しい露頭です.礫岩のような部分もあったので転石を写真に撮りましたが,面白いことに,写真の下の方に映っている暗灰色の道路工事のバラスの石が石灰岩で,フズリナのきれいな化石を見つけましたが,ここのものではありません. 仕方なく助手席のT先生が,私が目星をつけたGoogl地図のプリントアウトを手に運転手と色々相談しながら,車を進めます.一度目星の場所に行こうとしたのですが,どうも私有地で入るのを断られたので,とりあえず現地の事情をよく知っていそうな森林組合の事務所に向かうことにしました.私有地のオーナーが断ったのは,どうもバッテリ泥棒が頻発して警戒しているかららしいです.
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森林組合の事務所(左側)に到着.説明すると我々がサンプルを採った場所も目星をつけた場所も自然公園なので,石を取るのは禁止されている.12時にボスが巡回からも戻ってくるので,それまで待ってほしい.教育目的なのでたぶん採集の許可は出してくれるだろうということで右側の食堂で1時間ほど待つことに.日陰で涼しい風が吹き込むのでとても快適な場所.そういえば事務所もエアコンなしの孫をあけっぱなしで,風がとおり涼しい場所.日本なら蚊よけの網戸が絶対必要な気温なのに,あまり蚊がいないのは昼間だからか. 食堂のような場所には必ず犬や猫がいます.私は今回の渡航で,A型肝炎,日本脳炎,破傷風,狂犬病の予防接種を受けました.ほとんど複数回の接種が必要で,狂犬病は何と12000円×3回もの費用が必要でした.総額は5万円をはるかに超えています.50回以上もタイに渡航した知り合いの地質の老名誉教授に,自分は一度も予防注射を打ったことがないと笑われましたが.
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森林組合のスタッフはどうも森林警察を兼ねているようです.ここに置かれているのは不法伐採された木材を押収したものの一部をこのように展示しています.彼らが自然保護になみなみならない情熱を注いていることを後で知ります. 巡回からボスが帰ってきて事情を聞いて,岩石採取を快諾してくれました.この国の公務員は教育目的だと告げるとたいてい便宜を図ってくれるのだと,帰ってからききました.教育関係者がまだ尊敬されている国なのです.ボスが示してくれた地図の緑色の部分が国立公園と森林組合が管理する自然公園を示します.右の広い部分が国立公園でこちらも岩石採取は禁止です.我々は左に点在する自然公園の方だったので,このボスが許可を与えてくれました.そればかりかあとで分かったのですが.森林警察隊のスタッフに命じて我々を目星の場所まで車で先導してくれたのです.ちなみに,右の緑の国立公園には象(タイ語でChang,ビールのブランド名)が400頭いてキャパシティの2倍に達している.そのため公園の外に出没して餌を探すので,農作物を荒らしその対策に苦労しているということでした.
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森林組合のスタッフの車に先導されて一度は断られた私有地の道路をどんどん進んで目星の場所に到着.山は森林組合が管理しているようです.しかし肝心の石灰岩の露頭などどこにもありません.途方に暮れる我々に,スタッフがこの道を山の方に上がってみたらというので半信半疑でついていくと,何と目指すものがそこにありました!林の中にあきらかに石灰岩とわかる石が点在していました.何という幸運!
早速あたりを血眼になって探すとありました!風化面にリング状のCoralが見えました!暑い中を探し回った甲斐がありました.さっそくみんなを呼んでこれを探してくれと頼みました.あとで分かるのですがこれはどうも四射サンゴらしいのです.石炭紀の示準化石として有名なものです.
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しかし結局さっき私が見つけた石が一番良かったようで,それをハンマーで割ってサンプルを持って帰りました.スタッフの一人が同じようにハンマーで大きなサンプルを割りとり,我々の車まで運んでプレゼントしてくれました.森林警察隊のみなさんに本当に感謝です.実は彼らの背中には銃をかついだ人もいます.不法伐採者を逮捕する権利を持っているそうです.私の隣は米国からのビジター先生のDr.Myraさんです.彼女はすでに高校の化学の先生を退職しているのですが,若いときにNASAで宇宙飛行士の訓練を受けたこともあるすごい経歴の持ち主です.初めて地質巡検に参加したととても喜んでくれました.tag 持ち帰ってさっそく洗った断面に見事な石炭紀のサンゴの断面が見れました.暑い中を苦労した甲斐もあったというものです.車の手配や地図の案内でお世話になったカウンターパートのT先生,森林組合のボスやスタッフに感謝して今日の地質巡検(Myra先生いわくRock Hunting)の幕を閉じたいと思います.
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こちらにきて4週間を経過しました.そろそろ折り返しとなります.この日は地震のメカニズムの話で,神戸の地震の等発震時線と,P波初動のUD分布の作図をしています.附高生にはおなじみの等発震時線の作図です.こちらでは中学などで天気図を書く習慣はないので,手順を最初から教える必要があります.このクラスは一番乗りのよいクラスでみんな結構まじめにやってますね.ほかのクラスではたまに寝ている子もいます.同僚の先生が授業をビデオに撮ってくれています 生徒がきれいに断層を再現してくれました.背景の地図は地震のメカニズムの説明をしたものです.カウンターパートの先生が,器用に小麦粉の断層実験の準備をしてくれました.こちらでは小麦粉に20%だけココアが混じったものが安く売っているので,ココアの層をきれいに作ることができます.
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名古屋のM学園から訪問した日本人の数学の先生が,和算の特別授業をしているところです.この部屋は講堂のような広い部屋でオーディトリアムと呼んでいます.一斉授業や各種イベント,講演などに使う部屋です.手前のスキンヘッドの先生はアメリカの大学の先生でゲストとして数か月私と同じように数学を教えている方です.ステレオタイプの米国人とは異なり(ポーランド系ですが)とても腰の低い方で,私にもいつもゆっくりした丁寧な英語で話してくれるのでとても助かります. 生徒の数学のプロジェクトの発表です.生徒は自分の興味に応じて高2から高3の2年間,プロジェクトという研究を教科の勉強とは別に行います.先日私は,地震計を作りたいという高2の生徒に頼まれて地震計の話を1時間してきたところです.
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2週間の予定でロシアからの交換の学生が来ています.高2のクラスに入って一緒に勉強しているようです.この学校はこのように本当にゲストの多い学校です.先日は韓国の学生が来ていました.ウエルカムパーティみたいな夕食会を外のレストランで行っているところです. ある日の学食(キャンティーン)です.赤い米が標準のごはんみたいです.結構口に会いますが,3食これを食べるのはつらいので,前に書いたように朝はパン,夕食は日本食を中心に自炊しています.ロシアの学生と先生が来てからは,昼食にパンとチーズも置かれました..


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