2017年KVIS写真日記その
Facebookで公開しているKVISでの写真日記を少し編集して,こちらでも公開します.その3.
9月下旬に入ってからのKVISでの日常や旅行です.

私の今回のタイ滞在の期限も来週末までとなりました.そろそろ里心が出てきて,帰り支度をしなければと考えているところです.ただ今週末にはタイ南部の観 光地へのミニ旅行が控えていて,あと来週の最後の授業準備もままならないので結構毎日大変なのですが,何とか腹も壊さず無事に過ごしています.月曜日は授 業のあとに学校のバスで,隣の県である,チャンタブリの大学の宝石学部とサファイヤ鉱山を訪ねました.タイには宝石学部(Gem department)のある大学が4つあるそうで,そのうちの1つがこの大学です.昔からルビーとサファイヤの一大産地で,この見学を楽しみにしていま した.

21751566_273733843116491_8671324069025548720_n.jpg 21751932_273733883116487_8307760826126301459_n.jpg
大学とは独立してある,町の宝石博物館です.玄関前の像はあとで目にすることになるルビーの採掘風景です. 研究室の風景.鑑定用の顕微鏡とか機材ですね.
21752053_273733959783146_3796305805809188302_n.jpg 21686095_273734269783115_7300164853499375461_n.jpg
ルビーやサファイヤの鑑定を見せてもらいました.合成か自然か(ルビーサファイヤは合成のものが安く広く出回っています).また加熱か非加熱かがわかるそうです.加熱して色を濃くしたりする技術も開発しているそうです. 博物館の上の階にはやはり宝石店がありました.値段を聞くとそれほどでもないのですが,やはり買うのは勇気がいるので今回は遠慮しました.
21687614_273734339783108_6554284586869279715_n.jpg 21686312_273734353116440_6259263629886712049_n.jpg
昼食後に訪れた農家の一角の山が採掘場です.この赤い土のなかにサファイヤが隠れているそうです.オーナーはとても人の好い人で気軽に我々の見学を受け入れてくれました. 堆積した宝石を含む土を水で崩して,流して宝石を分離します.初めてこのような採掘現場を見る機会を得ました.
21617595_273734369783105_6267508903640196269_n.jpg 21752348_273734359783106_4199733828450043866_n.jpg
ごらんのようなとゆの途中にネットのトラップを作って小さな宝石を含む小礫を調べるようです. 採掘現場も興味はあるのですが,私はその傍に置いてあった母岩の方が気になります.ここのルビーやサファイヤはごらんのような玄武岩の外来斑晶として産すると論文に書いてあります.玄武岩自体はかなり最近(第4紀)の噴出のようですが,大部分が風化したり,浸食されてこのように元の溶岩が残っている場所は少ないのです.
21686193_273734456449763_4586607703816070293_n.jpg 21687854_273734773116398_6005117723941023382_n.jpg
オーナーがこれが多分サファイヤということで見せてくれた石です.何の変哲もない石ですが,実は光にかざすと一部が透明なものです. あと休憩小屋で見事なイエローサファイヤを見せてもらいました.これは磨いたものです.この土地はイエローサファイヤが地元特産だそうです.ルビーはここには少ないとか.
21617997_273734523116423_1865532671132526306_n.jpg 21687802_273734683116407_4729636993673693804_n.jpg
こちらはエメラルド色なのですが,おそらくグリーンサファイヤと思われます.もちろん長い間の採掘でとれたとびきりの石を惜しげもなく見せてくれました. オーナーご夫婦と記念写真.左がBurapha大学のスタッフです.男の人が今回の案内の方です.確か京都大学に留学経験があると言っておられたような.
21686280_273734756449733_5351201050436527674_n.jpg 21615972_273734869783055_3046464164884528045_n.jpg
帰りにもう一か所,玄武岩の露頭を見せてもらいました. 斑晶の一部が水に洗われて落ちています.黒いものはおそらく輝石だと思われます.この玄武岩はアルカリ玄武岩に分類されます.
21687719_273739546449254_6941341464142339042_n.jpg
採集した岩石の一部.私は宝石よりは母岩に興味があって,あまり宝石の方は集めなかったのです.当然見てこれが宝石というのは簡単には取れません.長い間の採掘が必要だからです.真ん中がかなりフレッシュなアルカリ玄武岩で左がその中に取り込まれたXenolithのカンラン岩です.全部緑色でこれが今回の一番嬉しかったサンプルです.右は斑晶類ですが,どれも輝石だと案内者は言っていました.サファイヤが混じっていることを期待するのですが,さて.

 忙しかった2か月間の最後の休日は学校がご褒美に小旅行をプレゼントしてくれました.化学の先生全員と国際関係の事務の女性などで私と米国からのアドバ イザーのMさんを除くとみんな独身の若い快活な先生ばかりでとても楽しい旅ができました.行先は私も全然知らなかった南の半島部のSurathaniとい う県にある人口瑚(ダム湖)です.忙しい中で3日間を取られるのもあり,まったく期待していなかったのですがこれが良い方にはずれて,驚きの連続でした. この日本のガイドブックにも全く載っていない素晴らしい場所を写真でご紹介します.湖上の浮いたキャビンに泊まりました.電気は太陽光発電のバッテリだ け.キャビンは1階が3ベッドで女性4人が工夫して宿泊.上の階が5ベッドで男4人で宿泊.上り下りははしごを使います.驚いたのは,夜湖上や湖岸にまっ たく人工の光をみなかったことです.雨が時折ふる天候で満点の星が見れなかったのが唯一の残念.それではタイの桂林と言われる素晴らしい石灰岩の地形をご 紹介します.
 FBの方には動画も紹介したのですが,このページでは容量の関係で写真しか載せれません.あしからず.
img_6056.jpg file:///home/seagull/Desktop/iPhone_KVIS/106APPLE/thumb/img_6079.jpg
学校を遠く離れるのは今回が初めて.バンコク市内にすら行ったことがなかったのに,ライオンエアという国内線に乗って遠く南の半島部にやってきました.
早速泊まるスラタニ市内のホテルのすぐそばのローカルマーケットにおじゃまします.屋台が所狭しと並ぶ風景.
img_6075.jpg img_6106.jpg
ここで昆虫食の屋台を発見.みんなに囃されて人生初めての昆虫食に挑戦.真ん中にある白い長いイモムシの唐揚げを食べましたが,塩味だけの無味なもので何とかクリア.もう2度とごめん.
豪華な夕食.今回の旅行は航空券だけ自前であとは全部学校持ち.何と言う太っ腹.
img_6109.jpg img_6113.jpg
美しい王宮のそばの,船着場から蛍を見る船に乗りました.
蛍を見る船旅に出発.木々にあえかな光を放つ蛍が見れたのですが残念ながら写真は撮れず.N先生の「明るい虫iを見に行きましよう」という日本語に一同大爆笑となった夜.
img_6131.jpg img_6144.jpg
あくる朝のこれも豪華な飲茶の朝食. 車に乗ることしばし,西部にある山間のダム湖に到着.
img_6143.jpg img_6157.jpg
ここのトイレは有料でした.5バーツを払って入ります.
ダムそばの港から,細長い船で遠い宿まで運んでくれます.やや天候が心配.雨季のあける今頃は不順な天候に学校でも悩まされています.しかし雲に見え隠れする石灰岩の崖は中国の桂林も顔負けという噂.
22049900_275600956263113_3336657712218180390_n.jpg img_6161.jpg
湖上のキャビンに到着.環境保護の目的から,施設はすべて浮かせてあり,陸上には何の施設もない湾奥の波の静かな場所にキャビンが並んでいます.
狭いキャビンの2階で男4名が寝ました.
img_6169.jpg img_6178.jpg
キャビンの前には見事な蘭の飾りが.私は30数年前に蘭の栽培に凝ったことがあってその頃見ればこれは垂涎のものばかり.しかし検疫があり買って持ち帰ることはたぶんできない.
キャビンの豪華な夕食.南部独特の辛い香辛料に要注意.
img_6189.jpg img_6230.jpg
翌日はいよいよダム湖の核心部へと船が進みます.こればかりは写真では全然スケール感が違います.FBの動画もご覧ください.
もう見渡す限り石灰岩の絶壁ばかり.道路がまったくなく船だけで見れる景色を堪能.
21766534_275603646262844_5712572220316115245_n.jpg img_6284.jpg
遠くに別の宿舎のキャビン.これも湖上に浮かせたものです.
さて湖岸に一か所あった簡単な船着き場を降りると歩く道が山を越えます.この道ごらんのビーチサンダルではとても滑りやすく,私は一度大きく滑って背中を擦りましたが,幸い雨合羽に泥がついただけで半ズボンは汚れずにすみました.
img_6288.jpg img_6364.jpg
このハイキング道はなぜか砂岩やごらんの凝灰岩のような泥岩が分布して,ほかの石灰岩とは異なります.歩く前にトイレを借りた店の人から入念に虫よけスプレーを吹きなさいとアドバイス.蚊もさることながら,どうも今日のような雨の日はleech(山ヒル)が出るそうです.私は常にleech checkを怠らなかったので,大丈夫でしたが,一人が足の甲を吸われました. 道を降りるとこのような簡単なバンブー船が停泊する港に出ました.本体とは別の少し上流にある湖です.ここからこの船に乗ります.材料は全部ここで取れた竹で作っているそうです.また屋根が見えるのはこの場所だけ住んでいた人が昔いたらしく,ダムの建設で引っ越した家が昔の遺産として残されているそうです.
img_6319.jpg img_6330.jpg
さきほどの竹船に乗ることしばし,10分ほどでこの鍾乳洞の入り口に到着.歩いて中を探検します.簡単な道が整備されているだけで照明もなく,ガイドがLEDのライトを貸してくれてそれで写真を撮っています. たくさんの国内,国外の鍾乳洞を見てきた私としては,特段この鍾乳洞がどうこうはないのですが,この地域にはおそらく発見されていない鍾乳洞が山ほどあるはずでそれが手つかずで残っていることに驚きます.日本ならすぐに観光資源として開発されるのがおちですが,こちらは自然保護が徹底されいるようです.
img_6357.jpg img_6441.jpg
鍾乳洞前の簡単な船着き場.全部浮かせてあります.興味深いのは,向かって左側の地形がなだらかで右側が急峻なのですが,これが地質の違いなのです.右は石灰岩ですが,左はハイキングコースでみた砂岩,泥岩が分布します.この湖の底に両者の境界が予想されます.見事な地質と地形の関係ですね. 宿全体の様子.丸い円柱状の浮きで全体が浮いています.船は右側の手すりのところに接岸されます.何をするにも船がいる場所です.このキャビンに2泊.2泊目の夜はビールを飲んで若い独身の先生たちの「恋ばな」に付き合いました.ビールは氷を入れるタイ特有の飲み方です.おかげ で,私は夜3回も音を立てないようにはしごをそっと降りて外のトイレに小用にいく羽目になりました.翌朝,モンキーハンティングに船で出かけたあと,9時 半の迎えの船が来るまでの間に宿の周囲でカヤックを漕ぎました.附高の沖縄のEDCAN以来のカヤックでした.
img_6494.jpg img_6490.jpg
1階の女性部屋.3つのベッドで4人が寝たそうですが詳細は不明です. キャビンの前の電源設備.屋根の太陽光発電の電気をはしごの下のバッテリで充電します.フルに電灯とかを使うと数時間で消耗するそうで,まめに電気を切っていました.自然とともに暮らすのもなかなか大変ですね.あとシャワーとトイレが2か所ずつついています.
img_6463.jpg img_6478.jpg
化学の若い先生Yさんと最後の日の朝に,カヤックに乗りました.彼女はスクーバダイビングも得意だそうです.5人いる化学の先生のうち,彼女を含めて3人までが博士号を持っています.そのうち2人は北大と名古屋大の大学院でそれぞれ博士号を取ったので,ときどき片言の日本語を話してくれます. こちらが船のメインエンジンとスクリューです.竹の船も同様の装置で駆動されていました.あまり日本では見たことのない推進装置ですね.とても小型のプロペラですが,結構なスピードが出ます.
img_6541.jpg 22046619_275753996247809_8027846149134342233_n.jpg
帰りに雨が一時ひどくなり,船頭が荷物を全部黒いビニールでカバーをかけてくれました.この時期はそろそろ雨季が終わるはずなのですが,雨がほとんどランダムに降ります. 一緒に旅をした仲間たちとセルフィー.後ろはダム建設30周年の記念の飾り.ダムは水力発電がメインとか.しかしこんな知られざる場所に桂林を越えるような素晴らしい自然があるのは本当に大発見でした.
22007996_275754542914421_7650351123006841377_n.jpg img_6598.jpg
メンバーも名残惜しそうにダムの写真を撮りました.このダムは作られて今年9月末で30周年を迎えるそうでその飾りつけがいたるところにされていて花も整備されてとてもきれいな場所でした. 帰りに立ち寄った吊り橋のある観光名所らしいのですが,詳細はわかりません.石灰岩地帯の風化土壌のテラロッサの赤い色が印象的な河床でした.
22046482_275754916247717_8184974110813876769_n.jpg 21766659_275755019581040_1875089578771002581_n.jpg
昼食の川の見えるレストランのメニューもタイ南部の郷土料理が並びます.半島部は魚料理が中心です.スズキのから揚げがメイン料理でした.たまにとてつもなく辛いのが混じるので彼らが気をつけるように言ってくれます. 空港から学校へ帰る途中の高速道路のSAで夕食に立ち寄ったマクドの看板はやはりタイ風にワイをしていました.これにて楽しかった2泊3日の小旅行はお開きとなりました.



Copyright (C) 2017 Yoshio Okamoto, all rights reserved.