津波のページ.
2024年11月7日 追記更新
私が下記の計算に使っている浅海長波近似の津波の方程式について,なにか平易な説明をしようと考えていたのですが,すでに下記の文献PDFがとてもわかりやすい説明をされているので,ご紹介します.
https://www.cole.p.u-tokyo.ac.jp/common/img/mt/events/pdf/20110827_niwa.pdf
なお,私はこの説明のために以下のような水槽モデルまで作っていたのですが,このモデルは実は間違っています.水流が隣の格子に移動するのは水面付近(穴
を開けている)だけではなく,海の深さを含めた水槽の格子の柱全体が動きます.これが浅海長波近似の重要な部分です.水面付近の水の粒子だけが楕円運動を
する風による表面波と異なるところです.
自作の水槽モデル.実際に水を入れて説明に用いようとした.水位の変化が隣の格子との間に水の移動を起こすことを説明しようとした.
しかし実際の津波の物理モデルでは水は格子の壁全体を通して移動するということ.
2021年3月14日再掲にあたって.
以下のページはかつて勤務した大阪教育大学附属高校天王寺校舎の筆者のサイトに置いていたものです.管理者のご厚意で,退職後も見れる状態になっていまし
たが,昨年サーバの変更により見れなくなりました.私のバックアップから,ページを再構築しましたので,ごらんください.なおリンク先以外は当時のままで
掲載します.
次の点などに着目ください.
1)津波が伝播するときに,日本の陸地側で遅く,太平洋側に速く伝播している様子
2)三陸海岸の早いところは20分前後で到着していること.
3)地形的に奥まった,仙台平野には到着が1時間以上かかること.
4)東京電力福島原子力発電所あたりの波高も高いこと
などが確認できます.
とくに,比較のために示したバーチャル(仮想)で作った,フラットな1500mの深さの海底面だと,津波がほとんど増幅されないのがわかります.津波の生
成に海底地形が深く関与していることがわかります.あまり同種の教材をみかけたことがないので,授業などでご活用ください.
ご注意:この計算は水深データが250mの格子を用いています.断層モデルも地震直後の粗っぽいものです.計算の
性質上,格子サイズ以下の細かい津波の再現はできていません.実際の津波画像などと比べてもあまり意味がありません.あくまで東北地方(そして東日本全体)を襲っ
た津波の全体像が再現されているだけだとお考え下さい.
(震災当日,NHKの津波の空撮映像を見ながら,呆然としていたのですが,何かできることがないかと考え,なけなしの小遣いを握って日本橋のPCパーツ屋
に
でかけました.当時の最新のCPUほかを何とか買い揃えて作った自作PCで,これらの計算に没頭していたものです.このたしか2時間あまりの現象の再現計
算に,1日か2日かかったように記憶します.気象庁が津波警報の計算にスパコンを用いる理由がよくわかります.1時間あとに出てくる津波予想をわずか数分
でしないと意味がないからですね.この自作津波画像を観るといつも当時のことが
思い出されます)
また,現地へは,1年後の2012年の春に地震学会の行事の下見で訪れました.そのときの記録が下記にあります.
http://seagull.stars.ne.jp/Field_Trip_Japan/index.html
<参考文献>
岡本義雄:パーソナルコンピュータによる津波の数値シミュレーション ー奥尻島周辺海域ー,地学教育 52,53-62, 1999
岡本義雄:パーソナルコンピュータによる津波の数値シミュレーション ーLinuxを用いた広域格子ー,地学教育 52,177-190, 1999
さらに上記計算の元になった,2004年スマトラ地震津波の計算は以下のサイトに格納しました(リンク切れ多数,情報も古いです).
http://yossi-okamoto.net/Tennoji/Sumatra/index.html
§.2011年東北地震と津波に関して 31.Mar.2011,13.Apr.2011
日本列島付近では数千年に一度と考えられる今回の地震と津波について,高1生には直後に特別授業をしました.その際にお話した内容の参考文献やその後改
良した津波のシミュレーションを紹介します.(これに関して校外から,問い合わせをいただいてもすぐには返答できない場合があることをお断りしておきま
す)
以前のバージョンは波高の下限を設けていて反射波の出方が不十分でしたので計算を修正しました(4月5日).
※ 下記の動画はavi形式なのですが,1280*960と大きいので,コーデック不足でWindows上で見れない場合があると指摘をうけました.この問題は検討中です.今しばらくお待ちください.
<津波シミュレーション>
筆者は津波の専門家ではありませんが,10年来教材用の津波のシミュレーションを独学で手がけてきました.今回の東北の津波に関して,下記の要領で作成
した津波のシミュレーション動画を公開します.avi画像で約100M弱あります.(Tsunami simulation)
http://yossi-okamoto.net/Tennoji/2011_Tsunami/Tohoku2_v2s.avi
また,比較のために,水深がすべて1500mだったとしたら津波はどうなるのかを計算させた結果も示します.
http://yossi-okamoto.net/Tennoji/2011_Tsunami/Tohoku_fl8s.avi
浅い海岸や地形が津波を増幅させ,また複雑な挙動に変えているのがわかると思います.
計算に用いた津波の式は
http://www.diges.net/edu/e02.pdf
に載せた浅海長波近似のもっとも簡単なものです.津波の遡上や海底との摩擦は考慮していません.また計算はUbuntu10.10
64bitOSの上c言語の自作プログラムで計算しました.計算結果はPovrayでレンダリングし,ffmpegで動画に変換してあります.
水深データは岸本清行さん(産総研)作成の250m格子のものを用いました.計算に用いた格子は約3200×5200で,時間刻みは0.5秒,画像出力は10秒ごとにしています.
断層パラメータは,何人かの専門家の解析を参考に下記のように置きました(4月3日に修正しました).
断層長さ:500km 幅:120km
断層走向N18E 傾斜18度北落ち
断層ずれ20m
断層の上限の埋没深さ10km
としています.
古いバージョンの計算結果.
<リンク link>
専門家による詳しい解析
・東京大学地震研究所広報アウトリーチ室の下記のサイトよりたどってください.
http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/eqvolc/201103_tohoku/
・政府の地震調査推進本部による今回の地震の評価
http://www.jishin.go.jp/main/chousa/11mar_sanriku-oki2/index.htm
・同じく日本の地震活動(同上)
http://www.jishin.go.jp/main/p_koho05.htm
・同じく東北地方
http://www.jishin.go.jp/main/nihonjishin/2010/tohoku.pdf
過去に仙台平野周辺を襲ったとされる869年貞観地震,津波に関して
http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/Tohoku/no16.pdf
http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/seika/h19seika/pdf/03.satake.pdf
http://web.bureau.tohoku.ac.jp/manabi/manabi16/mm16-45.html
など.
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