大阪教育大学 2018年度 一般教養科目「地球と災害」関連サイト  2018年10月08日新設, 2019年1月22日更新

これから,ぼちぼちと更新していきます.講義が終わってもときどき覗いてください(講義中もOK!).
連絡のメールはyossi.okamotoアットマークgmail.comです.

<授業資料>


01/22の講義資料
今日のレジュメのカラーpdfは下記
2018_AS13.pdf

講義へのコメントから,気候変動の原因などについてたくさんの質問をいただきました.それへの回答です(昨年度の講義のときのものを修正).

地球温暖化の話の中で,気温とCO2の関係について,まだよくわかっていないという話をしたのですが,気をつけてほしいのは,現在進行中の 地球温暖化(ここ50年)はCO2が増えているから気温が上昇しているのだというのがIPCCの科学レポートの内容です.つまり気温上昇の原因は人為的な CO2の排出に原因があるとほぼ断定しています(これには次回お話しますがもちろん異論があります).

今日お話した両者の関係については,過去40万年の間の氷河期の原因がどちらなのかという話です.この間の気温とCO2についてはグラフで見てわかるようにとてもよい相関があります.ただ,それではどちらが原因かというと,以下のIPCCレポートに詳しく書かれています.
http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar4/ipcc_ar4_wg1_es_faq_chap6.pdf

氷期-間氷期間の二酸化炭素の変動が気候変動を強く増幅した可能性は非常に高いが、二酸化炭素変動が氷期の終わりを引き起こした可能性は低い。過去の氷期終焉
時において、南極の気温は大気中二酸化炭素より数世紀早く上がりはじめた

これには,結論からいうと気温の変動が先,つまり原因 は気温の変化(より詳細にいうと北半球の日射量の天体軌道的変化,ミランコビッチサイクルを参照)でCO2はそれに追従したということになります.ただ CO2が増えたのが,より温暖化の流れを加速してという正のフィードバック過程も重要なことも指摘しています.
しかし現在我々が問題にしているここ50年の温暖化は,あきらかに地球の歴史時代に見られないようなCO2の急速な増加があり,これが原因で気温が上昇し ているという考え方になります.つまりここ50年間の温暖化はCO2の急速な増加が原因だと説明しているわけです.ただ上記のように地球の過去は原因と結 果が逆であった可能性があり,それが現在の地球温暖化人為説(IPCCが唱える)に対する懐疑論(自然原因説,次回に詳しくお話します)がでてくる背景に なっています.この点は次回最終回に詳しくお話します.
なお次回の「地球温暖化懐疑論」については下記のような文献も参考にしてください.
http://www.jser.gr.jp/activity/e-mail/honbun.pdf

水月湖の湖底の7万年の地層の縞の物語は下記を参考にしてください.

無料のPDFは下記サイト
http://www.hitachi-zaidan.org/reference-room/pdf/work04_18.pdf

出版された本は下記
時を刻む湖――7万枚の地層に挑んだ科学者たち (岩波科学ライブラリー)/中川毅著
人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか (ブルーバックス)/中川毅著

福井県立年縞博物館のHP
http://varve-museum.pref.fukui.lg.jp/

海外の写真や紀行については,私の下記の巡検記を参考にしてください.
http://yossi-okamoto.net/Foreign_Trip/index.html

サンアンドレアス断層の空撮
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/CANADA/Misc/index.html

ザンビアの紀行
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/Zambia/Zambia_1.html
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/Zambia/Zambia_2.html


01/08の講義で配布した プレート地図(カラー版)は下記リンクから
W_Plate_map.png
青の破線が沈み込み帯
赤の破線が開裂帯(中央海嶺など)
緑の一点破線がすれ違い帯
でそれぞれマーカーで色を塗ってください.
この地図はGMTという地球科学でよく使われるフリーソフトと同じくフリーで公開されている地図データ,地震データなどを用いて作ったものです.もしGMTに興味のある人はメールしてください.詳細を伝えます.ただしある程度のPCやソフトウエアに関する知識が必要です.

Q&A.火山噴火の質問がありました.水蒸気爆発はわかるけど,なぜ普通の噴火も爆発的に噴火するのか?
通常の大きな噴火をプリニー式噴火といい,大規模な場合は火山体が陥没してカルデラが作られます.
Q.このような噴火が何故起こるのか?
A.答えは講義でも少し言いましたが,サイダーやコーラの瓶を振ったときを想像してください.栓を抜くまでは何も起こりませんが,栓を抜いた途端に噴火 (噴水)します.これは今まで液体の中に溶けていた二酸化炭素が一気に気体の泡になるからです.火山のマグマでも同じことが生じると考えられます.地下で マグマに溶けていた火山ガスが,火口が開いた途端に一斉に気体の泡になってマグマを膨張させるからです.

Q&A.海洋底拡大説がなぜ「大陸移動説」の復活なのか?
A.これ結構本質的で鋭い質問です.大陸移動説は大陸だけの移動を考えていました.その当時大陸はどうも大陸地殻というものでできているらしいと考えられていたからです.
しかし海洋底拡大説は,大陸が動くのは,大陸そのものではなく,大陸と海の底が一緒になって動くのだということがわかったのです.大陸はただ動くベルトコンベアの上に乗っているだけという考えです.
動くベルトコンベアが海洋底になります.プレートテクトニクスはさらにその発展で,ベルトコンベアの厚さが100kmくらいある厚い板だと考えるようになったのです.

あと今日使ったiPhoneの地磁気アプリを紹介しておきます(今見るとアンドロイドでも使えるようです).
https://teslameter-11th.soft112.com/

さらに地震学会広報紙の私の記事へのリンクは
http://www.zisin.jp/publications/document04_04.html

です.ご参考に.


12/25の講義用(追記あり12/28)
クラカタウの火山噴火と津波の 関連について(まだ詳細は不明ですが),下記の動画はとてもよくできています.きちんとした津波の計算によるものと思われます.さらにその下に計算の元に なったと思われる海底下の地すべりおよび本来の地震断層のずれによる津波が表現されています.グッドジョブです!

https://www.youtube.com/watch?v=AXHN14IHtLY
https://www.youtube.com/watch?v=feXCIfatJYo
https://www.youtube.com/watch?v=ILlyfwDwJVs

<追記>
授業コメントに幾つか質問があったので,下に関連事項を書きます.

まず,山体崩壊と津波の関係をモデル実験した結果が下記ツイッタにあります.
https://twitter.com/osm3dan/status/1078325237698052097
わかりやすい実験です.

あと電波が水中を伝わらないのに,なぜ航空機のブラックボックスは海底で見つかるのかという鋭い質問がありました.
調べると以下のような回答となります.水中では電波ではなく,超音波を使っているようですね.
https://matome.naver.jp/odai/2141907838642037501

フレデリック・フォーサイスのおすすめの作品は以下です.

「ジャッカルの日」:フランス大統領ド・ゴール暗殺を狙うテロリスト
「オデッサファイル」:ナチ残党vs.秘密組織オデッサの戦い
「戦争の犬たち」:金で雇われた傭兵がアフリカの小国で反乱を起こすが,---

いずれも映画化もされていますが,やはり文庫本で読みたい.実話を元にした入念な調査から書かれた小説だという.また「戦争の犬たち」については筆者 フォーサイスが関係した似たような政変の噂話があるという.調べてみてください.地学的には「戦争の犬たち」に錫の鉱床の話が出てくるので私はとても興味深かった.

大陸移動説については英語ですが,下記のサイトが参考になります.
https://pubs.usgs.gov/gip/dynamic/dynamic.html
Contentsの画像をクリックすると各章が見れます.
以前はpdfファイルがダウンロードできたのですが,今は登録サイトにしかないようです.残念.


12/18の講義用
しばらく,間が空きました.久々に更新します.

鬼界カルデラ調査の,神戸大学のページは下記
http://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2018_02_09_01.html
その成果の論文(Research Gateサイトからダウンロード可能)は
https://www.researchgate.net/publication/323072299_Giant_rhyolite_lava_dome_formation_after_73_ka_supereruption_at_Kikai_caldera_SW_Japan
滝沢さんの出演のNHKスペシャルはどこかで探してください.

火山の噴火規模と頻度のグラフを書きましたが,過去の火山噴火の規模を推定するのは大変で,どこからデータを取るか,どのような計算方法を取るかによる推 定誤差を含んでいます.従って,上記神戸大学の巽さんの論文にも同様のグラフがありますが,規模の推定法などが異なるため,授業で書いたもの(噴火規模の データはスミソニアン博物館による)とはかなり異なります.注意してください.

カルデラ噴火のリスク評価,計算法は
低頻度巨大災害のリスクを定量評価する 小山真人 で検索してください.和文のpdfの記事が読めます.おすすめです.
(URLをコピーできませんでした.上記の用語でGoogleから検索してください)

早川由紀夫氏(群馬大学,火山学)のサイトから,
http://www.hayakawayukio.jp/publication/paper/chiri5905.pdf
もよくまとまっています.

また私は読んでいませんが,保険企業の研究サイトからは,保険料率の本格的な計算手法が書かれたものがあります.
https://www.giroj.or.jp/publication/earthquake_research/No32_all.pdf

片田敏孝
さん(元群馬大学,現東京大学)の「釜石の奇跡に関するインタビュー動画は
https://www.youtube.com/watch?v=x_T3d_qqa7c
https://www.youtube.com/watch?v=GXKnn7NQ6QQ
などです.

授業後のコメントで,「彼の考えでは年寄りはほうっておくのか?」という質問があったのですが,動画の中でそれにもきちんと答えを出しています.



11/27(火)のレジュメ



11/20(火)の補講はさすがに出席者が少なかったので,その際に配布した資料を下記に上げます.少しだけ今週の講義の最初に説明を入れます.
なお,この補講はふだんの授業に出席している学生さんは全員が出席したものとして扱います.もちろんわざわざ補講に出た学生さんには+αをさせてもらいます.
レジュメ1
レジュメ2



第5回(10/30)
G-R則とその背後に あるもの その2
数多くの例を出しました.主なものを上げると,

<砂山モデル(Bak,et,al,1897,1988,1989)>
検索すると幾つかの指南サイトに出会いますが,いまだに日本語の解説サイト は少ないです.この物理モデルの重要性があまり日本では着目されていないということかもしれません.
<バネ・ブロックモデル>
これも色々なモデルがありますが,下記のモデルではたった2個のブロックでも相互作用で複雑な地震の発生をすることがわかります.
http://www.jamstec.go.jp/donet/rendou/report/predict04.html
簡単に見えた摩擦が実はとても複雑であることは下記の解説サイトなど,
http://www.arito.jp/LecEQ19.shtml

あとZipfの法則については,下記の論文がいいのですが英語です.前回紹介しました.
https://arxiv.org/abs/cond-mat/0412004

Long Tailについては,wikiを参照のこと.
元の名付け親クリスアンダーソンの記事は,
https://www.wired.com/2004/10/tail/

エビングハウスの忘却曲線(これは指数関数の例)
すみません.何か参考になるものをと思って検索しましたが,怪しい情報ばかりでした.地震予知に負けないですね.教育心理学の専門家の先 生がおられると思うのでその方に聞いてください.

碁石モデルのBASICプログラム.下記のプログラムは下記にある
潮田 康夫さん作成のN88互換BASICというソフトをインストールしてその上で実行してください.Windows95用ですが最新のWindows10でも動きます.
https://www.vector.co.jp/soft/win95/prog/se055956.html

私の碁石モデルプログラム GO_100.BAS
上記プログラムは私の著作物なので,他の方に譲渡やネットにアップしないでください.修正変更して何かに用いる際はかならず元の著作権を何らかの形で示してください.

第4回(10/23) G-R則とその背後にあるもの

レジュメ:2018_ 地球と災害第4回.pdf
その他の授業資料が必要な人は誰か出席した人のものをコピーしてもらってください.

最初の「ちきりん」さんのサイトは下記.
https://chikirin.hatenablog.com/
の中の,
https://chikirin.hatenablog.com/entry/20110927
が印刷した資料です.今読み返すと少し改訂されていることがわかりました.

あと,偶然のテストの初稿は下記です.碁石モデルの解析も載せています.教育センターで教員研修を仕事にしていたときのものです.
これネタバレになるので来年度のシラバス編成のころまでにはリンクを消します.

地震のシミュレーションと地震予知 -”碁石モデル”の教材化
   http://seagull.stars.ne.jp/resources/goishi_model.pdf

脳科学の専門家池谷さんのサイト
http://gaya.jp/ikegaya.htm

BOOKSの中に今日紹介した本があります.
ただ今日紹介した本には,これは脳科学の本ではなくて,単なる心理学の本であるという批判があります.

今日少しだけいいかけた「べき乗則」については,次回下記の本をご紹介します.
https://bookmeter.com/books/233335

英語ですが,下記の論文はおすすめ.図のキャプションだけでも見ておくと来週の授業が待ち遠しくなる(ページの右側にある DownloadのPDFから本文が取れる).
https://arxiv.org/abs/cond-mat/0412004

第3回(10/16)は第2回のレジュメを中心に説明を行います.レジュメを印刷かタブレットなどで用意してください.

元ページに,中国製格安PCの Windows10にLinuxを導入する手法,および前回波形教材でお見せした計算尺(nomogram)の作成法を載せました.
計算機に興味のある人は一読ください.

中 国製格安PCEZBOOK3Pro:WSL(Windows Subsystem for Linux)のインストール

2018-10-14 地 学教育「ノモグラム」Python関連 作成法公開

第2回地震波形実習教材(地震波形教材ダウンロード版です.B4印刷時にタイムマーク間が60mmになるように倍率を調整してください)
59 型地震波形問題B4_2018改訂版.pdf

レジュメ:2018地球と災害第2回.pdf
その他の授業資料が必要な人は誰か出席した人のものをコピーしてもらってください.

<お知らせ>
次回の講義で,地震波形についての実習を行 います.コンパスが必要です.私の方では少ししか用意できないので,できればマイコンパスを持参 してください.
百均のもので構いません.なおものさしは結構毎回必要となります.これも百均のものを用意しておいてください.


第2回レジュメ


自作地震計について

1980年代末から地震観測をもっと学校や一般に普及させるために,教材用の地震計を開発してきました.
その成果の一部は下記サイトに紹介しています.
http://www.zisin.jp/modules/pico/index.php?content_id=1946
しかしこの記事にあるNEC-PC98シリーズはとっくの昔に廃機種となってしまいました.永らく一般のWindowsPCで地震計の計測装置が できない かと考えていましたが,
5年ほど前に救世主に出会いました.(下記Arduinoは日本橋の電子パーツ店「デジット」のスタッフに教えていただきまし た.感謝!)
Arduinoという電子基板とそれを操作するためのProcessingというプログラム言語です.
http://arduino.cc/en/Main/arduinoBoardUno
http://www.processing.org/

Arduino Uno基板は日本橋価格で約3000円.Processingはフリーソフトなので無料です.また中国通販サイトAliExpressからは,3ドル台と いう信じられない価格で互換基板が個人輸入できます.ただし完全互換品ではありません(ソフトの一部を修正する必要があります.念のため).
関連サイトはgoogleで検索するとたくさんあります.
これを用いた地震計が前回講義で紹介したものです.2014年地球惑星連合大会で発表したポスター.
http://www.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/~yossi/2014_Kaken/2014_Yokohama_iFS.pdf

現在自宅(大阪狭山市)とタイの高校,さらに姫路の知り合いの高校で,この地震計の改良版と,専門家用の地震計を模して製作したやや本格的な地震 計との比較観測を行っています.
観測波形はこれからおいおい公開していきます.

これらのことで質問は遠慮なく yossi.okamoto あっとまーく gmail.comまで.

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