大阪教育大学 一般教養科目「地球と災害」関連サイト 2017年4月19日新設, 07/05/2017更新

これから,ぼちぼちと更新していきます.講義が終わってもときどき覗いてください(講義中もOK!).
連絡のメールはyossi.okamotoアットマークgmail.comです.

<お知らせ>
初回の講義で,授業は7/19の最終テストまでとお知らせしましたが,その後私の都合が変更になり,
試験はその次の週,
7月26日(水)となります.予定を変えて申し訳ないです.7/19は通常講義の最終日となります.
予定の変更をお願いします.

<第13回>7/12

地球温暖化の話の中で,気温とCO2の関係について,まだよくわかっていないという話をしたのですが,気をつけてほしいのは,現在進行中の 地球温暖化(ここ50年)はCO2が増えているから気温が上昇しているのだというのがIPCCの科学レポートの内容です.つまり気温上昇の原因は人為的な CO2の排出に原因があるとほぼ断定しています(これには次回お話しますがもちろん異論があります).

今日お話した両者の関係については,過去40万年の間の氷河期の原因がどちらなのかという話です.この間の気温とCO2についてはグラフで見てわかるようにとてもよい相関があります.ただ,それではどちらが原因かというと,以下のIPCCレポートに詳しく書かれています.
http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar4/ipcc_ar4_wg1_es_faq_chap6.pdf

これには結論からいうと気温の変動が先,つまり原因 は気温の変化(より詳細にいうと北半球の日射量の天体軌道的変化,ミランコビッチサイクルを参照)でCO2はそれに追従したということになります.ただ CO2が増えたのが,より温暖化の流れを加速してという正のフィードバック過程も重要なことも指摘しています.
しかし現在我々が問題にしているここ50年の温暖化は,あきらかに地球の歴史時代に見られないようなCO2の急速な増加があり,これが原因で気温が上昇し ているという考え方になります.つまりここ50年間の温暖化はCO2の急速な増加が原因だと説明しているわけです.ただ上記のように地球の過去は原因と結 果が逆であった可能性があり,それが現在の地球温暖化人為説(IPCCが唱える)に対する懐疑論(自然原因説,次回に詳しくお話します)がでてくる背景に なっています.この点は次回最終回に詳しくお話します.
なお次回の「地球温暖化懐疑論」については下記のような文献も参考にしてください.
http://www.jser.gr.jp/activity/e-mail/honbun.pdf

海外の写真や紀行については,私の下記の巡検記を参考にしてください.
http://yossi-okamoto.net/Foreign_Trip/index.html

サンアンドレアス断層の空撮
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/CANADA/Misc/index.html

ザンビアの紀行
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/Zambia/Zambia_1.html
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/Zambia/Zambia_2.html

<第12回>7/5

久々の更新となります.今日のコメントでいくつかいただいた質問で

Q1.海洋底が拡大するということは,どこかでその埋め合わせがあるということですか?そうでないと地球の半径が大きくなる.
A1.そのとおりですね.地球の半径はほとんど変わっていませんから,どこかで海底が失くならないといけないわけです.それが沈み込み帯ということになります.

Q2.地磁気のN極が南にあるのに,なぜ地球上で磁石のN極は北を指すのですか?
A2.地球の北極の下にS極があると考えると,S極に引っ張られるのはN極ということでちゃんと合っていますよね.

Q3.そもそもなぜ地磁気は逆転するのですか?
A3.これがとても難しい問いで現在も完全に解かれているわけではないようです.とりあえず地磁気は地球の外核で電磁石のような作用として作られると説明されます.電磁石ですから電流の流れる向きが逆になると発生する磁場は逆になるわけです.

地磁気がなくなるとどうなるのかという質問もいただきました.
http://www.kakioka-jma.go.jp/knowledge/qanda.html#12
などが答えです.

その理由を色々と説明されています.詳しくは下記の説明を読んでみましょう.
http://www.kakioka-jma.go.jp/knowledge/qanda.html
http://www.kakioka-jma.go.jp/knowledge/mg_bg.html

あと参考サイトとして以下を挙げておきます.参考にしてください.

私の地磁気に関連する教材は,
http://www.zisin.jp/publications/document04_04.html
にあります.

海嶺部の地磁気異常の縞模様を説明する,私の海底磁化モデルの発表のポスターは下記にあります.
http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Univ/2015_Kaken/2015_Makuhari/%E5%B9%95%E5%BC%B5%E5%9C%B0%E7%A3%81%E6%B0%97%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB.pdf
この実験装置は,海底の磁化モデルとして永久磁石でこすって磁化させた釘を使っていますが,実際の海底の岩石(玄武岩)の磁化はもっとわずかなレベルで す.大変高感度の磁力計で地磁気へのその影響がやっと検出できるようなレベル(±500nTの振幅レベル,地磁気の強さの1/100程度) ですので,間違わないように.

今日お見せしたiPhoneの地磁気アプリは下記です.Androidでも同様のものがあると思います.探してください.
https://itunes.apple.com/jp/app/teslameter-11th-pro-metal-detector/id473154714?mt=8
上記のアプリの地磁気センサは3ch出力もあり,敏感です.電車の中なのでは磁気の変化が見れます.面白いですよ.
また岩石で試してみるときは,おみせした実験のように玄武岩を使ってください.ほかの種類の岩石の磁化はとても弱いです.

約46μT(46000nT)というのが地磁気の日本付近での日常の強度ですね.
http://www.kakioka-jma.go.jp/knowledge/qanda.html#2

また「海洋底拡大説」の作られる過程で紹介した主な論文は,
http://web.gps.caltech.edu/~tsai/files/GreatPapers/VineMatthews_1963.pdf
https://websites.pmc.ucsc.edu/~pkoch/EART_206/09-0210/Vine%2066%20Science%20154-1405.pdf
https://websites.pmc.ucsc.edu/~pkoch/EART_206/09-0210/Cox%2069%20Science%20163-237.pdf

プレートテクトニクスの成立に関する論文
Morgan:http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/JB073i006p01959/pdf
J. Tuzo Wilson
Continental drift and a theory of convection
Xavier Le Pichon
Sea-floor spreading and continental drift
D. P. McKENZIE & R. L. PARKER https://www.nature.com/nature/journal/v216/n5122/abs/2161276a0.html

などですが,アクセス制限があるものもあります.
Natureは大学内からは読めると思うのですが.

<第6回>5/24

今日は地震の波の話でした.今感想コメントカードを見ながらこれを書いていますが,結構誤解があるようなのでまず,それを解いておきます.
最初に,海の波の話で,波は変形が伝わるもので水そのものが動いて来るではないと言いましたが,それは岸辺ではなく沖での波の定義です.

・一般的な海の波と水粒子の動きについては下記のページを
http://www13.plala.or.jp/oosimakisyou/3nami.html

岸辺では,波が砕けて当然水は一旦砂浜に押し寄せて,また沖に帰っていきます.これが巨大になったのが津波が海岸を襲うときです.水は防潮堤を越えて変形 だけではなく,水本体として陸地に流れ混んできます.また大きな津波のあとは水が海に引いていきます.だから大きな石もひっくり返るわけです.沖の波は変 形だけで全体としては水は動いていないが.海岸(岸辺)の波は水の移動を伴うと考えましょう.

東北の地震全体の様子は次の動画が一番よく全体像を見れると思います.
https://www.youtube.com/watch?v=IvZd8yKTTBM
https://www.youtube.com/watch?v=S2ZOmMH4WHA

東北の地震の際の東京の超高層ビルの揺れは下記の動画を(5/30追加)
https://www.youtube.com/watch?v=g0cz-oDfUg0

津波はパニック映画のように波を蹴立てて進むというよりも,次第にじわっと水かさが増える場合もあるという例は次の東北地方太平洋沖地震 で,宮古市で撮られた動画で明らかです.ちょっと長い動画ですが,水かさが増えて行き,ついに防潮堤(8m)を越える様子が見事に捉えられています.6分 前から堤防を水が越えはじめます.宮古市役所でカメラを回し続けた方の大変貴重な映像です.
https://www.youtube.com/watch?v=VqIQFZZoVR4
また港に停めてあったトラックのドライブレコーダーに捉えられた津波の様子
https://www.youtube.com/watch?v=yLFHKezcUok
なども参考になります.

・津波の最初の水面の変動
 ただ,津波はいつも引き波から始まるわけではありません.震源の断層のずれ方によっては,押し波,最初に水が引かずにいきなり津波が押し 寄せる場合もあります.また海底で起こった地震でも津波を起こさない場合があります.特に断層が横にずれる地震では海底の上下変動がないので津内が起こら ないのです.津波予報が時々途中で解除になるのはこのような原因でも生じます.なかなか一筋なわではいかないわけですね.

・太平洋を渡る津波

 また授業でも言ったように,太平洋のような広い深い海では津波の様子はほとんどわかりません.陸地に近づいて波高が短くかつ高くなって初めて津波と気づ かれるからです.太平洋岸に起こる大きな地震では,ハワイ島が津波の重要な観測点となります.つまり巨大地震で太平洋を渡るような大きな津波の場合に,皮 肉なことに陸地となっているハワイが太平洋における津波の監視塔の役目を引き受けているわけですね.

インドネシアのジャワ島の津波(2004年12月)の様子は下記の動画などを
https://www.youtube.com/watch?v=Qvo_6BbKKGw

・波の性質について

音の反射による日光東照宮の「鳴き龍」は下記の動画などを.
https://www.youtube.com/watch?v=R0xQMD-f4po

・免震と耐震の違い
http://www.menshin.biz/?q=menshin/node/3393


<第4回・第5回>5/10,5/17

質問で多かったのは,どんな統計でも,「べき分布」をすのかという問いで,当然これはNoです.
学校のテストの成績のようにある範囲で採点するものは,当然平均点のまわりにデータが散らばる,正規分布に近くなる場合が多いです.
これは地震の大きさや企業の売上のように大きさに制限がないデータとは根本的に異なります.このあたりを誤解している人がまだ多いようです.
また,授業では当然「べき分布」あるいは「Zipfの法則」としての結果がきれいなものの例を探して提示しています.したがって直線がきれいな形なのです.
もっと汚い分布は山ほどあります.ぜひ色んな統計のデータを探してグラフにチャレンジしましょう.グラフの書き方は,表計算ソフトで2列のデータ(ランク と売上など)を選択して,グラフの挿入で「散布図」を選ぶのが重要です.ほかのグラフではうまく行きません.そしてグラフが表示されたら,x軸,y軸の上 でマウスを右クリックしてメニューを出し,軸の書式設定から対数軸をチェックするのが肝要です.面白いグラフができればぜひメールで添付してください.

それでいくつか参考サイトをあげます.
Zipfの法則は
https://arxiv.org/pdf/cond-mat/0412004.pdf
にあります.英語で読みづらいと思いますが,
5ページ以降に,
A. Examples of power laws
として,世の中の様々な「べき乗則」「Zipfの法則」の例が載っています.
この部分だけでもスマホの辞書を片手に調べてみましょう.結構授業で言った内容が含まれていますよ.

Cris AndersonのLong Tailの話は次のインタビュー記事がわかりやすい.
https://japan.cnet.com/article/20182227/
元記事は下記ですが,図もなく英語ばかりです.
https://www.wired.com/2004/10/tail/
こちらは筆者のブログで少し図があるのでみやすいか
http://longtail.typepad.com/the_long_tail/

<第3回>4/26

スマホを用いた地震のデータ収集サイトは
http://myshake.berkeley.edu/
そのニュース記事は
http://www.latimes.com/local/lanow/la-me-ln-app-mobile-phone-detect-earthquakes-20160212-story.html
さらに論文は
http://assl.usu.edu/pubs/i4cs.pdf

震源決定,Mの推定の答えは(筆者科研費関連ページより)

★用いた「ノモグラム」の 実物pdf
★開発した学校用波形教材 「震央の決定とマグニチュード推定」 問 題 解 答
(B4で印刷するとちょうどよい大きさです)


カーンアカデミーは下記のTED(日本語字幕つき)
https://www.ted.com/talks/salman_khan_let_s_use_video_to_reinvent_education?language=ja
英語字幕版(カーンアカデミー本家)は
https://www.khanacademy.org/talks-and-interviews/conversations-with-sal/v/salman-khan-talk-at-ted-2011-from-ted-com

<Q and A>感想カードからの質問に答えます.

Q. Mを決める地震計で,地面が揺れると鏡が揺れるのはわかるが,記録するドラムも揺れているのでは
ないですか?
A. とてもよい質問で地震計の記録の仕方の本質をついています.
強震計という,地面の強い揺れをとらえる地震計の中には,地震のときに揺れない部分(不動点という)を
振り子で作って,その不動点に対する揺れている地面の揺れを記録するというタイプのものがあります.
これは当然揺れを記録する倍率は1倍ですね.
 それに対して,Mの推定に使うWoodAnderson地震計は倍率が2800倍という高倍率になるように
光梃子をセットしてあります.つまり地面の揺れはほとんど感じないような小さな揺れを専門に記録
する機械だと思ってくれてよいと思います.これで回答になりましたでしょうか?

<第1回,第2回関連>


1.講義で使った地震波形の教材資料は下記です(答えは来週掲示します).
B4用紙に印刷すると使えます.
「震央の決定とマグニチュード推定」問題
震源の求め方がわからないという質問が2,3ありました.来週終了後でも質問に来てください.

またこの実習に関連する次のような説明資料もあります(防災科学技術研究所Webサイトより)
http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/sec3.1.html

これに関連する私の学会発表:
2013年5月19日 日本地球惑星科学連合大会(於:幕張メッセ)
★ポスターPPT 気象庁59型地震計波形記録を用いた学校教材の開発(準備編)pdf
2013年8月18日 日本地学教育学会大阪大会(於:大阪教育大学天王寺キャンパス)
★ポスターPPT 気象庁59型地震計波形記録を用いた学校教材の開発(実践編)pdf

2.異常震域については,気象庁の下記の資料を参考にしてください.
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq27.htmlのなかの
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq27.html#28

3.寺山修司に関して,次のようなサイトがあります.
http://1000ya.isis.ne.jp/0413.html
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20130412/1048697/


<質問>への回答

Q.大森係数kについて,

A.これは来週の講義で少し解説します.

教科書の値6~8が妥当でない理由は,私が共同著者の下記の論文をお読みください(現在はpdfを読むのに制限がありますがそのうち一般公開されるはずです).どうしても今,読みたい方は私の方に言ってください.別刷のコピーをお渡しします.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/zisin/69/0/69_35/_article/-char/ja/

Q.なぜ震度という古い尺度を残しているのか?
A.これについては気象庁の次の資料の中に,震度の利用例という形で次の2つの理由が記載されている.
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/study-panel/shindo-kentokai/hensen.pdf

 ・地震の際の地盤の違いによる揺れの様子を細かく調べるため
 ・地震波形の記録のない時代の地震の研究

など.私はこのうち後者の例をPPTで紹介した.

なお震度全般については,下記の気象庁のサイトの解説を見てください.
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/shindo/kaisetsu.html
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/kyoshin/kaisetsu/calc_sindo.htm


自作地震計について

1980年代末から地震観測をもっと学校や一般に普及させるために,教材用の地震計を開発してきました.
その成果の一部は下記サイトに紹介しています.
http://www.zisin.jp/modules/pico/index.php?content_id=1946
しかしこの記事にあるNEC-PC98シリーズはとっくの昔に廃機種となってしまいました.永らく一般のWindowsPCで地震計の計測装置が できない かと考えていましたが,昨秋,救世主に出会いまし

た.(下記Arduinoは日本橋の電子パーツ店「デジット」のスタッフに教えていただきまし た.感 謝!)
Arduinoという電子基板とそれを操作するためのProcessingというプログラム言語です.
http://arduino.cc/en/Main/arduinoBoardUno
http://www.processing.org/

Arduino Uno基板は日本橋価格で約3000円.Processingはフリーソフトなので無料です.また中国通販サイトAliExpressからは,3ドル台と いう信じられない価格で互換基板が個人輸入できます.ただし完全互換品ではありません(ソフトの一部を修正する必要があります.念のため).
関連サイトはgoogleで検索するとたくさんあります.
これを用いた地震計が前回講義で紹介したものです.昨年2014年地球惑星連合大会で発表したポスター.
http://www.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/~yossi/2014_Kaken/2014_Yokohama_iFS.pdf

現在柏原キャンパスの研究室で,この地震計の改良版と,専門家用の地震計を模して製作したやや本格的な地震計との比較観測を行っています.
4月25日のネパールの地震などの観測波形はこれからおいおい公開していきます.

これらのことで質問は遠慮なくyossiあっとまーくcc.osaka-kyoiku.ac.jpまで.

Copyright (c) Yoshio Okamoto 2015−2017, all rights reserved.