2021年10/30-11/2 伊豆大島巡検その3&伊豆鉄道旅

3日めは,またまた初日の晴天が戻ってきて,絶好の巡検日和.昨日の雨が嘘の様に晴れました.午後の船に載るので,この日は午前だけの活動となります.ま ず昨日偵察しておいたC火口列に場所を見に車で山に登ります.その前に各自宿のチェックアウトを終えて,宿に大きな荷物をあずけてスタート.ちなみにさす がに3日めとなると島の生活に慣れてきて,いかに物価が高いかとか,スーパーの品揃えの傾向などがわかってきました.島の生活は結構大変そうです.それで は3日目と,単独行動となった4日めの伊豆鉄道旅(韮山の地震動痕跡,修繕寺観光,狩野川河原でのサンプル拾い)をご紹介します.記述はメンバーからのコ メントで更新予定です.

その1(野田浜,三原山など)
その2(2日め,島内一周道路ぞい,大切断面,カキハラ磯,トウシキなど)

参考文献は以下
Yamamoto(2017):Field guide of Izu-Oshima Volcano
山元・川辺(2014):伊豆大島2013年ラハールの堆積学的特徴 



2日間泊まった,ゲストハウスの部屋. やや古いけど広くて,トイレも中にあって快適.冷蔵庫ももちろんある.キッチンは簡単な調理器具とか皿なども完備で,調査とかで長期間滞在するのにおすす め.Mさんが泊まった階上の部屋はトイレは外で共用だとか.電子レンジも階上にあって,温めは可能.しかし電子レンジが置いてある,共用スペース は風呂の脱衣場を兼ねているので,女性の使用時には使えない.価格は同じなので,予約時に部屋の選択が重要.
ゲストハウスの外観.まあ何でも結構高い島の宿泊料としては5500円/泊と安いほう.ただ駐車場はないので,どこかに止める必要がある.歩いてすぐに小規模なスーパーがあるので,食事材料には不自由しない.


この日の午前中はまず,1986年の噴火で外輪山の外側に側火口列として開いたC火口を見に行く.最初に外輪山側の御神火茶屋側に車を止めてかなりくたびれた遊歩道をどこまで行けるか歩いていく.
ほどなく反対側の駐車場に出た.ここは昨日偵察で車道の入り口まで行っ たが,立ち入り禁止の横棒が置いてあった入り口の奥.S君が見ているところに木に隠されたジオパークの看板があるが,よく見えない.この島ジオパークを名 乗っているけど,噴火から時間が経つだけに何か色々とチグハグな印象.


遊歩道自体はこのように一応整備されている.ただし86年の噴火直後の荒々しい火口の様子は全体に木々に覆われてしまって,ほとんど見えないと思って良い.さすがに35年の月日を感じさせる光景であった. 道に落ちている火山弾と思しき岩塊.発泡構造はきれいに見える.


ここで,Bさんが溶岩樹形とおぼしき形を発見.中心部を見ようとするが,茂った草木で阻まれる.
これがおそらく火口列の1つだと思われる.これもたしか噴火直後は中に入ってスコリアに覆われた火口内部を確かめられた記憶があるのだが.


C火口はほかの火口列と異なり,SiO2の多いやや白っぽい安山岩質の溶岩が出た場所としても有名.それらしき岩石を発見.
外輪山側の駐車場には,我々以外に何か調査の車なのか,車が1台止まっていた.コロナ禍でもあり,さすがにこの遊歩道では誰にも合わなかった.まあふだんもあまり訪れる人はないのではと思われる.

さて,午前中の次の場所は,ジオサイトとして指定された「赤 禿」と呼ばれるスコリアコーンを見に行く.元町の北側の海岸あたりは空港も近く,平坦な地形でサイクリングのコースとしてもいい感じ.3行先の右の写真の 場所を上から見ている.一番下に灰色の塊状に崩れた溶岩,次が茶色のスコリア,そしても一番上に層状の火山灰が重なるのが見える. サイクリングと思しき観光客?にも出くわした.


これが赤禿と呼ばれるスコリアコーンの一部.たしかにとても赤いのが特徴.Sさんによると,空中での酸化の条件でこのように赤くなるという説明.
スコリアの特徴がよくわかる.


火山弾らしき構造.
堆積の様子もよくわかる.わずかに粒径の変化が見れる.


噴火口と推定されているのはごらんの海の中だという.
さきほどのスコリアの層準より下に降りた海岸の様子.右上に成層する堆積物があって,その下はかなり分厚いが成層しない溶岩のように見える.

車はさらに空港の脇を通って北上し,初日訪れた野田浜に近い海岸で縄状(パホイホイ)溶岩の露頭を探す.何かそれらしい模様が見れるのだが.
これは縄状と言ってよいか?しかしSさんは風化のしわざではないかとやや懐疑的だった.

さて初日に訪れた野田浜を再度訪れる.海岸の転石を拾うため.みんなルーペを片手にオリビンの斑晶を探している. 伊豆大島でオリビン(かんらん石)をそれなりに含むものは,この岡田火 山のような先カルデラ期よりもさらに古い火山の溶岩に多いという.現在の島の大部分を作る玄武岩はオリビンの量が少なくなるか,全く含まなくなるという. この島の地下でのマグマ溜まりの分化作用を観る思いがするのでとても興味深い.



さて一旦元町の港に昼食のために帰ってきた.元町港は整備されて近代的な港になっているが,現在はさらに工事中とかで,船はより小さい岡田港に着く.
港の食堂で地元の名物「べっこう丼」を食す.そのときどきの魚が漬けにされてのっている.まずますの味だが,1200円は大阪に比べるとさすがに島価格と思われる.


3日間世話になった7人乗りのCUBEを港の駐車場にキーを付けたまま 返す.大きな荷物を載せると5人でも満杯状態.巡検の際は大きな荷物はすべて宿にあずけて移動した.これでレンタカーの返却手続きは終了.島らしくとても おおらかな扱い.午後2時すぎに出る船をターミナルで待つ.
ここで東京に帰る組と,私のように熱海に向かう組に分かれる.船の時刻は15分の差だったか.ターミナルにある土産物屋とか小さな博物館みたいな施設に立ち寄る.


時間待ちの間に,2Fにある展示スペースに立ち寄る.さすがにジオパークだけあって,岩石が展示してある.説明もなかなか堂にいっている.
数日前に台風が通り過ぎたので,かなり心配したが,無事,船は往復してく れたことになる.この日は三島に宿を取ったので,東京ではなく,熱海に帰ることになる.これにていつものメンバーと同行した巡検の伊豆大島編は無事終了.ちなみにこのチ ケット,東海汽船の株主優待割をヤフオクでゲットして,差額で夕食代が浮いた.



さて,熱海港からは,2人のメンバーと一緒にタクシーに乗って,熱海駅に到着したものの,名物の足湯はごらんの状態.まあコロナ禍なので仕方ないか.ここから在来線で私だけ三島に移動.
この日の宿は,三島の駅前から少し歩いたところにある,モダンなビジネスホテル.ネットで朝食付きで安い(3900円/泊)ので飛びついたが,駅前とはいえ,かなりの距離をスーツケースを引きずり歩くことになる.泊り客はまばらであるが圧倒的に若い人が多い印象.


近代的なのはいいけど,部屋にTVはないし,おまけにベッドではなく, ごらんのじかにふとんを敷いた状態.これにはちょっと驚く.ただあとでわかるがロビーは充実していて,滞在者はそこで仕事をするとか.しかしそれは翌日わ かったことで,この夜ははるかに駅前まで歩いて夕食を取る羽目に.
トイレ側はこんな感じ.最初机が窓側に置かれていたけど,PCの電源がないので,無理やり机を,洗面台のスーツケースを置いてる場所に移動して,洗面台から電源を取ることにした.初めての宿は色々と不便が多い.この夜は何かホテル選択失敗したなと思っていた.


しかし翌日にわかったのは,ロビーに無料のコーヒーはあるし,PCの電源やらいろんなサービスがあることがわかって,もう少し調べれば良かったと反省.ごらんのバイキングの朝食はとても豪華で安宿とは思えない充実ぶり.1泊3900円でこの朝食は立派!
さて翌日は伊豆半島北部の観光地を巡ろうと思ったので,まず宿に大きな荷物をあずけて身軽になり,三島駅まで.


ネットで拾った情報でこのような1日乗車券があることがわかる.通常版とコラボ版があって,当然コラボ版をゲット.
このきっぷでこの路線を1日乗り放題.


まずは韮山で降りて,反射炉とは別の西側に歩を進め,狩野川の鉄橋を渡る.さすがに富士がきれいに見える.反射炉は以前に来たことがあるので,今回はパス.
住宅街で迷いそうになるが,何とか目的の建物にたどり着く.国指定の天然記念物とあるが,実は人工物の指定はこれだけとか.詳しくは下記のWebを参照.
https://izugeopark.org/geosites/minamiema/


まずは建物内にある説明書きを読む.
これが地震動の擦痕.はるほどP波とS内による揺れの方向の違いがきちんと記録されている.FBで知り合いの東京のN先生ご推薦の場所だけはあった.駅から結構な距離歩かされたが,わざわざ来た甲斐は十分あった.
その後終点の修善寺駅まで電車に乗る.ここからお上りさん観光の始まり.
有名な竹林だという.


あと温泉街の中にこんな書き込みが.このあと日枝神社というのところにも立ち寄る.何か大河ドラマか何かが関係するのか,幟が結構目立った.
さらに誰もいなかった悲劇の武将源範頼を祀った神社のインスタ映えしそうな,飾り?


さて再度電車にのり,大仁駅まで.そこで駅からすぐの河原に降りることにする.
Google地図で目星をつけた通り,滅茶苦茶広い河原で,伊豆の各地の火山岩類のサンプルを拾うには絶好の場所.


北側にはごらんの山もそびえる.いかにも伊豆らしい風景.ただこの河原に降りるために,最適の場所を探して,堤防を結構歩いたり大変だった.やはり初めての場所はわからないことが多い.



河原に降りるのにヤブコギをしたときに,まとわりついた植物の種の数々.これ外すのに難儀した.
さて薄片にするために拾った,狩野川の河原の岩石.一応角閃石の斑晶系と斜長石の斑晶系に分けた.これで今回の伊豆大島巡検&狩野川河原岩石拾いは無事終了.三島から新幹線で帰阪した.


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