地層と堆積構造の解説ページPart.2  2009年7月19日
今年,新たな写真を入れて作りなおしました.

まずは典型的な砂泥互層.中3の臨海実習に行くサイト,加太の海岸のも のです.和泉層群と名づけられた約6500万年前の中生代白亜紀末期の海に堆積した地層です. 砂岩が出っ張っていて,泥岩の部分は侵食に弱くへこんでいるのがよくわ かります.砂岩の裏側に何やらソールマークがあるようです.このような日本に多い砂泥互層は「乱泥流」と呼ばれる海底地滑りの結果できるとされています.
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2002年夏に訪れたヨハネスブルグ郊外の滝の上の地層.クオーツアイ トと呼ばれる石英質の砂岩です.30億年前と堆積岩としては大変古いものです.赤い色は大陸の岩石の特徴です. 2003年夏に訪れたバージェス頁岩の露頭.泥岩が少し圧力をうけてう すくはがれやすくなっ たのを頁岩と呼びます.このサイトは有名なカンブリア紀の初期の動物化石が多数見つかった場所です.
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2008年(今年)夏訪れたノルウエイ,オスロ近郊の島の地層.石灰岩 が地層を作って います.よくみると少し斜めになっているのがわかります.クロスラミナです.弱い水流があったことを示唆します.下の写真の化石からシルリア紀前期の地層 であることがわかります.
こちらはきれいに整合した部分です.石灰岩のこういったきれいな成層部 はあまり日本国内では見たことがありません.大陸周辺のラグーンのような浅い海で形成される地層のようです.同様の地層は大西洋をはさんで北米各地でも見 られるとか.その頃は大西洋がまだ現在のように開いてなかった証拠ですね.
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びっしりと層理面に密集する腕足貝.1cmほどですが,殻がきれいで密 集しているのが特徴.この場所が当時生物の棲みやすかったラグーンのような状態だったことがわかります.上に凸で並んでいるのはこちらが地層の上部だった からでしょうか? こちらは細長い針状の巻き貝のような構造の化石です.これも密集してい ますが,横に並んでいることから何となく水流の様子が想像できます.
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別の島では砂岩の地層の表面に見事なクロスラミナ.この場所で水流が あったことがわかります.地層は化石からペルム紀のものだとわかります.オスロのあたり現在の東アフリカのような地溝帯ができて,その海に堆積した地層だ そうです.
別の角度で撮ったクロスラミナ.河口などの水流の激しくかわる場所でで きるとか.
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さらに別の島の巨大な礫岩の地層.扇状地に堆積した地層だと言ってまし た.ペルム紀のものです.地溝帯を両側ではさむ断層の直下にできたものだという説明です.細かいことを言うと実はこの礫の層は級化が逆になっています(上 ほど巨礫になっている).これは土石流に特有の現象だそうで最近「ブラジルナッツ効果」と呼ばれ注目されているみたいです.
島の反対側では少し礫岩の大きさが小さくなっていて,扇頂部から距離が 離れたことを示しているとか.断層からの距離が遠くなったことを示唆します.断層はちょうどこの島と対岸の陸地の間にあるそうです.ここでも逆級化が見え るみたいです.
高知県竜串海岸の砂岩層に見られるクロスラミナ 徳島県甲浦近くの天然記念物の露頭.リップルマークの波紋が美しい.水 流の方向が推定できそう.
加太海岸の砂岩層裏がわのソールマーク.水流の方向がわかるだろうか? 和歌山県切目崎の砂岩層の裏側のソールマーク.ものを引きずったような 跡が見える.
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和歌山県南部釣り師だけがわたる無人島,横島で見られる特異なソール マーク.クレセントキャストというらしい.明らかに水流の向きがわかる.1968年,この露頭を研究した人たちによって「黒潮古陸」説が唱えられた. 砂岩層の下に粗い粒がたまり上にいくほど粒が細かくなっています.「級 化層」と呼ばれ,地層の上下判別の参考にします.
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岡山県成羽で見られる天然記念物の不整合.どこが不整合面かわかるだろ うか? オスロ近郊の先カンブリア時代の花崗岩と古生代オルドビス紀の頁岩の間 の不整合.


「イノブータン王国」で名を馳せた和歌山県の南すさみ町の海岸にある見 事な地層の褶曲構造.確かどこかの教科書の写真にもなったことが−−.誰かの若い日の姿があります.
こちらは一見地層のように見える層構造ですが,実は地層ではなく,火成 岩の貫入岩体が,マグマの分化作用で縞模様を作っている構造です.こんな紛らわしいのも時にはあるということで.写真は南アフリカのブッシュフェルド貫入 岩体の黒い部分はクロムの鉱床です.

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