<氷食地形のコーナー>  3.June 2005
日本には氷河による地形はしょぼいものしかありませんが,カナダには凄い氷河地形が目白押しです.カナダ巡検のページからそれらをちょっと特集してみました.

LAからカルガリーに飛ぶ飛行機の中から見えたカナディアンロッキーの氷食地形.3方から氷河に削られた尖鋒が見えます.
やがてカルガリーの空港に着陸する寸前.大陸氷床の下にあった平原が,後氷期に川の侵食で削られているところ.
帰りの飛行機で同じくカナディアンロッキーの雄大なU字谷を望む.氷河の走向は北北西−南南東です.
同じくU字谷の底に氷河湖が見えます.ちょっと山火事の煙で景色が煙っています.
こちらは地上からのU字谷とその奥にアサバスカ氷河の遠景.
氷河の上を登ります.真夏だというのに吹き降りる風が冷たい!
氷河の先端部は解けた水がトンネル状に流れだしています.氷河の底は青い氷ですね. 氷河に削られた跡,「擦痕」が岩盤にくっきりと出ています.左側に現在の氷河あります.
その拡大です. このような凹凸のある岩盤状にも傷がついています.水平方向の傷が「擦痕」です.写真の方はブラジルの大学の先生です.
dscn1440.jpg
氷河の高い方から氷河先端の方を望む.幾重にもモレーンが重なっている. これは1982年の氷河先端の位置.中央の人物のすぐ右前方の道路際に1970年の表示が遠く見えます.10年あまりでこれだけ後退したことになります.これは最近の地球温暖化の反映だと言われています.さらに後方駐車場のあたりには1959年の看板もありました.
U字谷の側面には氷河が削った堆積物がたまったモレーンが連なる.
これは氷河から帰る途中の見事なU字谷.2段になっているのがわかる.
こちらはU字谷の壁に聳えるカテドラル.侵食に強い石灰岩がこうした尖鋒を形造る.さらにたくさんの衝上断層で切られ,上部ほど古い岩石が出るのが特徴です. 次に訪れたのが有名な観光地.レイククルーズ.氷河湖は細かい石の破片が水に入った光を散乱するので見事なエメラルドグリーンから暗く濃いブルーまで様々な美しい色を見せるのが特徴です.
次に平原に見られる氷食地形です.これはハイウエイ沿いの有名なドラム リンの全景です.写真の左(ロッキー山脈側)から氷河が丘を流線型に削った跡だと言われています.このあたりにはこのようなドラムリンが各所にあり,全体 の並びから2万年前の氷河の流下方向が推定されています.ここでは左(西)から右(東)に.
ここはエスカーの横切断面が出ている場所です.これがドラムリンとは異なり,氷河の底にある流水路のたまった堆積物が直線的な丘になって残っているところです.たまたまその流路をハイウエイが直角に横切るところに富士山型の断面が出ています.
これはTillと呼ばれる氷河による運搬物が堆積したものです.
ここでも上部にHoodooのような風景.Tillというともっと角礫を想像したのですが,この日のTillはどれも礫が結構丸かった.
モレーンレイクの天然ダムを望む.湖を堰止めたモレーンに見えるのですが,どうもそうではなく山崩れの堆積物だと説明の板にありました. モレーンレイクを堰止めた天然ダムの上からの眺望.手前の木が茂る丘が本物のモレーンだそうです.
こちらはU字谷の出口にある扇状地.
こちらはバージェス頁岩のサイトに向かう出発点のカナダ第2番目の高さを誇るタカカウ滝.夏の氷河の融雪水が轟音を立てて凄い水量で落下しています.いわゆる圏谷にかかる滝ですね.
バージェス頁岩サイトに向かう途中に見える見事な圏谷.U字谷が合流するところにできる特徴的な地形です.
圏谷にかかる細い滝のクローズアップ.高さがどれくらいあるのか見当もつきません.上部の氷河の先端が見えています.またU字谷の下部は崖錐と呼ばれる崩れた堆積物に埋もれています.
こちらはカルガリーから南に進んだところの氷河期の遺物.巨石が平原にポツンと置かれてあります.このあたりはロッキー山脈からの山岳氷河とカルガリーの方から流れてきた大陸氷河がちょうど,ぶつ かるあたりで,双方が氷河に載せて運んできた巨石が,温暖化で置き去りにされたものが幾つかあるそうです.ここはそのうち最も有名なBigRockという 場所です. The Okotoks erraticと参考書にありますOkotoksはこのあたりの地名です.蝶が羽を休めている形に似ています.これらは迷い子石とも呼ばれ,氷河期の氷床の運んだ巨石の忘れ物です.ニューヨークのセントラルパークにある迷い子石も有名ですが,私は行ったことがありません.
こちらはカルガリーの北方の丘陵地にある,浅いU字谷の風景.カナダの西部の平原地帯は2万年前のウルム氷期には,厚い大陸氷河が覆っていました.
両側の高いところに砂岩の層が浮き出ています.ここの形成について図を示しながら詳しく聞きました.U字谷の底が堆積物に埋められた地形だと言ってました.aggradationという言葉を出していたように記憶します.
これは巡検最終日のカナディアンロッキーの奥で見た天然陸橋ですが,氷河の雪解け水が勢いよく吹き出しています.水が白く濁っているのはglacier milkというそうで,氷河の削った細かい泥の粉が水の中に入っているからだそうです.
エメラルドレイクもそんな雪解け水の溜まった湖で氷河湖独特の見事なエメラルド色に見えるのですがこの日は山火事の煙で霞んで肝心の色が台無しになっています.遠くの尾根の右側,少し低まったあたりにバージェス頁岩のサイトがあります.






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