Trans Canada Highwayへの巡検(17 Aug.2003) 暫定版 2003.09/03

 いよいよ今回の学会に付帯する巡検も最後の日となりました.今日は恐竜の昨日の巡検が終わりかなりの人が帰ってしまったのか,小さなバンが2台で回る羽目に.おまけに座席がカナダ人はみんな腰が太い人なので3人がけに2人で手一杯.結局N氏と私の2人の日本人はUSから来たカレッジの男の先生と3人がけとなり,これがしんどかった.こんなことなら人数は少なくてもでかいコーチにして欲しかった.ということでこの日は山火事の煙もますますひどく,折角のハイウエイ沿いのロッキー山脈の景色はかなりスポイルされたものになってしまいました.
最初にカナダ全体の地質のレクチャーです.カルガリーのはずれの丘で最終氷期の氷河の動きなどをおさらいします.
これはハイウエイ沿いの有名なドラムリンの全景です.写真の左(ロッキー山脈側)から氷河が丘を流線型に削った跡だと言われています.このあたりにはこのようなドラムリンが各所にあり,全体の並びから2万年前の氷河の流下方向が推定されています.
フロントレンジの代表的な山 Mt.Yamnuskaを望むサイトでの講師の熱演ですが,肝心の山が煙で隠れてどうしようもない風景です.
こんなスラスト断面のキーポイントが見えるはずが,--.
私の断層実験に似た,砂に小麦粉で地層を作った断層モデルです.褶曲ができやすいように思われました.写真の方はブラジル3人組の1人です.
アルバータ州の車のナンバープレート.各州ごとに交通ルールまで異なるとか.
dscn1746.jpg
このGMのバンが巡検には活躍しました.カナダは日本車が思ったよりも少ない土地です.GM,クライスラーなど米車がたくさん走ってます.何といってもカナダは石油輸出国でガソリンは安いのです.
オランダの研究所に勤めるチュニジア人?のポスドクのDamian.面白い男ですぐに友達になりました.Yoshio!といつもやって来るFriendlyな研究者の卵です.
次にジュラ紀の砕屑岩類を見ます.デボン紀の石灰岩からこのような中生代の砕屑岩類までがくり返しでてきます.例の多重スラスト構造のせいです. うすく剥がれる頁岩ですが,一部ハンモッキー構造とか言ってました.
中央部に見られるのは大きな珪化木です.
珪化木のクローズアップ.
この向こうに素晴らしい風景が見えるはずが,--.
CoralCreekの昼食を取ったベンチでりすの動きに見とれました.野生動物が豊富で,大学の寮の前でも夜中に鹿をみました.
その場所にあった野外トイレです.水洗ではありませんが意外ときれい.
またまた例のモレーンレイクを再訪しました.今日も煙ってます.日曜日で車と人が多かった.
山崩れの解説?こういった地学的な解説がどこでも観光地に見られます.
堰止めた山崩れの堆積物を湖のサイドから遠望する.
手前のモレーンの丘と氷河に削られた山肌.切り立つのは石灰岩が多い.
湖畔に立つロッジ兼レストランです.
次に訪れたのが有名な観光地.レイククルーズ.湖畔に立つホテルは1泊600ドルくらいするとか.
湖の奥には氷河の先端が見えます.水は結構冷たく,色は少し濁りがあります.
ホテルに隣接するロビーと土産屋.日本人のアルバイトスタッフがいたのにびっくり.語学研修を兼ねているそうですが,結構時間給はいいみたい.
中庭でホルンを吹くおじさん.観光客の客寄せのようです.
中央の溝は人工的に掘られたものとか.手前の鉄道に崩れてくるのを防いでいるようです.この鉄道線路は帰りにもう一度見ます.
エメラルドレイクにやってきました.初日にバージェスサイトから遠望した湖です.水の色はきれいですが,やはり山から遠望したほうが良いようです.図の山の尾根が右側で少し低くなったあたりにバージェスサイトはあります.
この湖畔にも図のようなホテルが立っています.ここからもバージェスPassへのハイキングコースがあります.
バージェス頁岩の説明プレートとバージェスグッズ.
バージェスサイトの遠望.図の中央やや右の尾根の日があたって白く見えるあたりにある.しかしやはりもやっています.
湖畔の電話Box.ご多分にもれずカナダでも携帯熱はさかんで,授業中に携帯を使う高校生が問題となっているとか.NZの先生はUSの先生も同じことを言っていた.これはUniversal Problemだと.
さてこちらはKicking Horse Valeyの最奥.Natural Brige.
雪解け水が凄い勢いで孔から吹き出しています.
橋の上の岩石は褶曲構造がきれいに出ています.しかしクリベイジラインはそれに斜交する典型的な何とか構造.昔構造地質で習ったような,--.
少し戻って,例の線路が見えたビジターセンターでトイレ休憩.だいぶ夕方遅くなってきました.
ここで向かいの線路を2台連結のディーゼル機関車が走ってくるのを見ました.おそろしく長い(100輛以上)貨車を引っ張っています.
引かれる貨車の列が長く続いています.
さて先ほどの列車を見た我々はバスで有名なループに先回りします.
ちょっと見にくいのですが,上のトンネルから先頭の機関車は出てきていますが,まだ貨車の方は下のトンネルにどんどん入っていきます.つまり山のなかでトンネルがぐるりとループしているのです.
今度はもうひとつ手前にある線路に先頭の貨車が差しかかっていますが,後ろの列は上のトンネルから出てきています.
ループを通過する列車をみたあとは,さてここで面白い実験教室.水でといたコーンスターチが非常に不思議な性質を持ちます.あるときはゆるりと流れたり,あるときは抵抗したり.マントルの粘弾性のモデルとなるのでしょうか.大変興味を持ちました.
さて夕食にバンフに立ち寄ったのは8時半をとっくに回っていました.軽井沢のような街(行ったことはないけど)だそうです.でもこのあと,マクドの上のレストランで世にもまずいスパゲティを食べる羽目に.しかもTip込みで15ドル!もう一遍でこの街の印象が悪くなりました.煙のもやもひどかったし,−−−.この夜以外はカナダの食事は特に悪くなかったのですが.
地質巡検の度に余ったジュースやお菓子をもらうので,だんだんそれが増えてきてとうとうこんなになってしまいました.あと残った3日でこれを食べないといけません.それにしてもカロリーが多そうなpop(炭酸ジュース類を指すカナディアンイングッシュ)ばかりですね.
途中のバンフとキャンモアの間は本当に煙がひどくて,アイスフィールドの日は赤い火まで見えました.30年に一度というひどい山火事だそうですが,せっかく天気が良かったのに残念.夕立以外は雨が降らない滞在でした.そして
やっと,巡検が終了しました.あと3日ぶらぶらする日を残しました.というよりそうしないとLAから日本に帰る便がないからです.条件は悪かったですがそれでもカナディアンロッキーを満喫した巡検でした.ループを巡る汽車は本当にびっくりしました.力学的にひっくり返らないのかとN氏と論争しましたがよくわかりませんでした.


Copyright (c) Y.Okamoto 2003, all rights reserved.