「バイキングの伝統と多様化する社会」 私(岡本)によるノルウエイ素描 08/24  2008.

わずか10日の滞在で,その国を語るというのは無謀である.それを承知で,前回のドイツに習って,あえて今回のノルウエイ渡航の感想を記したい.これは現 在のノルウエイを語るというより,おそらく現在の日本を語ることになると思うから.

1.人口の差,そして最低限の知識

 ノルウエイは面積こそ日本とほとんど同じの山がちな国であるが,人口はわずか,470万人あまりの小国である.これを1億2000万の日本と同じ尺度で 見てはいけない.これがまずこの国を語るときの基本だと思う.しかしそんな小国であるにもかかわらず,この国は小さくもピリッと辛い輝きを発している国で ある.まずこの国の特徴をいくつか,wikipediaから拾うと,

1)徴兵制(女子は免除),良心的兵役拒否は認められる.女性の社会進出が著しく,議員,大臣の4割弱は女性.
2)EFTAには加入するが,EUROには加入せず.(従って通貨はノルウエイクローネ 1kr=約20円あまり)
3)イプセン,ムンクなどの芸術家,アムンセン,ヘイエルダールなどの探検家,アーベル,ハンセンなどの学者などを輩出.
4)現代史において,イスラエル,パレスティナの歴史的和解を裏で画策するなど平和に関する特異な活動.「ノーベル平和賞」はオスロで授与.
5)北海油田でうるおう生活.水力発電でまかなえる電力.

2.福祉国家としてのノルウエイ

基本データは下記
http://www.ssb.no/english/subjects/00/minifakta_en/jp/

<物価高と不便さ>
 このように,旅行でまず感じたのはこれまでどこにもなかった物価高と,食品やビールを日曜日に買えない不便さ.大体,物価は日本の2〜3倍.つまり1日 の生活費が1万円/日.日曜日はスーパーでビールが買えない.また平日でも午後8時以降にビールは買えない.ルールだという.
 食事は基本的に朝と昼はコーヒー以外は,パンとチーズとハムなどのサンドイッチのみ.りんごなどのフルーツがつく.暖かい食べ物は夜のみ.しかしレスト ランで食べるとおそらく3000円以上!マクドのセットが70krで約1500円.ペプシがスーパーで24krの500円.地下鉄やバスの初乗りも300 円から400円と信じられない.空港から市内までの高速鉄道は関空までの半分くらいの距離なのに片道3500円以上!産油国なのに,ガソリンも多分240 円/リットルくらいだという.ホテルは東京で1泊8000円くらいの一番サービスが低そうなホテルでも16000円は取られる.私は例外的に長期滞在用の キッチンのあるホテルを1泊12000円(朝食抜き)で泊まれた.
 あと宅急便(DHL)はホテルに引き取りに来てくれるサービスのみ.これ電話が必要ということで今回は利用せず.郵便局のバカ高い小荷物(10kgで約 10000円)を利用.約10日ほどで到着.スーパーやコンビニ,百貨店もあり,特にスーパーは最近は夜9時すぎまで開けている.しかしビールは夜8時ま で.日曜日は開く店が少なく極めて不便.日本の駐在員などは,物価高にシフトする手当てをもらっているとか.そうでないと生活できない.

<福祉国家>
 しかし,そんなノルウエイであるが,福祉は充実していて,学費や病院などは基本的にただ.老後の心配はないらしい.特に驚いたのが,オスロの子供や妊婦 の多さ.先進国ではもっとも出生率が高い.子育てのしやすい環境が整っているとのこと.(これは巡検の帰りのバスで現地の女性研究者からじかに聞いたので 確か.彼女らもそれを誇りに思っているらしい)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1582.html
http://dataranking.com/table.cgi?LG=j&TP=po06-1
http://www.ssb.no/english/subjects/00/minifakta_en/jp/
には,出生率(2006年統計では1.9!)の日本(1.33)との比較や育児にかける予算の違いのグラフがある.余談だが,YouTubeのアルゴアの ノーベル平和賞授賞式のスピーチで,参列したノルウエイの女性議員か大臣が眠ってしまった子供を抱きかかえて,講演を聴く姿が印象的.
 街中では,白人が圧倒的に多いが,アフリカ系やアジア系,またムスリムの人たちを結構みかける.ドイツほどではないが,この国も多様な人々が集まって住 んでいる国だとわかる.民族博物館にも「白人の北欧」というイメージは今日では間違いであると,強調した展示があった.あとときどき,同姓のカップルを見 かけるのがこの国の特徴か.

<経済>
 日本と異なり,インフレでだんだん物価が上がり,大変そうだが,都市は工事がさかんで,何か1970年ころの日本の都市のような感じ.少なくとも日本の ように未来が暗いという姿ではないみたい.しかし北海油田もすでにピークを過ぎたといわれる昨今.この石油にたよった経済をどのように方向転換するかはこ の国にとって重要だと感じた.あと環境に配慮した生活という点も水力発電が主力など様々に目につく部分はあるが,本質的に人口比が日本とは基本的に違うの で,その点はあまり参考にならないと感じた.

<治安など>
 まったく不安を感じなかった.もちろん何となく目つきの悪い連中がたむろしている通りもあるが,美術館で落としたサングラスはちゃんと届けられていて 帰ってく るなど良い点が目についた.ベルゲンで,夜,酒に酔ったティーンエージャーが奇声を上げていたのはドイツと同じ.夜たまに,パトカーのサイレンが鳴ってい た.喧嘩などみたことがなかった.ただ,酔っ払いや薬中毒風の若者は駅前などにいる.また英語でほとんど不自由がなかったのが特徴.ドイツでは地方都市の 郵便局で英語が全く通じなかったのに驚いたことがあった.

3.日本との比較

 ノルウエイから帰ってきて思うのは,日本の国の便利さばかり.深夜でも食料や酒は自由に手に入るし,宅急便でコンビニからいつでも荷物を送れるし, 100円均一ショッ プはあるし,自動販売機は普及しているし.おそらくかの国から来た人はなんと便利だと感じると同時に,なぜそこまで便利にする必要があるのかと,考え込ん でしまうだろう.同じことを強く感じる.なぜそこまで便利にする必要があるのかと.その過剰なまでの便利さの影にどこまで無駄にエネルギーを使った生活な のかということを強く感じた旅行だった.ただいつも思うことだが日本の料理の幅の広さ,奥の深さを思い知る旅行となった.

4.学会グッズなど

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右側が学会グッズの巡検バッグ,名札,左側がプログラムなど.赤いフォ ルダは化石1日巡検の資料.
スーパーの中にある郵便局から送った荷物.ちょうど10kgの航空便で 約1万円かかった(箱とも).10日かかって到着.壊れてはいなかった.


5.番外 かかった費用

学会費用(本体,Halfかつ早割) 410ユーロ
地質巡検(2日分)   145+70=215ユーロ
計          625ユーロ(10万5千円) 
KLM航空券(関空ーオスロ,ベルゲンー関空のオープンジョー,サーチャージ含む):18万8千円
ナットシェルツアー(オスローベルゲン)1240NOK(27280円)
宿泊(オスロ)   540NOK×7日=83160円
宿泊(ベルゲン) 16000円×2日=32000円
おみやげ,小遣い 50000円

総計485440円
と50万近くなった.驚き.たぶんこれまでで最高の高価な渡航となった.まあその分の価値は充分あったと思うが.
あと,今月のカードの請求が来てもうひとつ驚いた.国際電話が1件につ き5000円強請求が来ている.5-6回掛けたから総額で馬鹿にならない.こんなに高かっ たのは初めて.電話ボックスの日本語の案内にそっただけだが,こんなに高いとどこかに書いてあったかな?これから行く人は要注意です.あと,あまりの高物 価に食べ物を始末したため,3kg痩せて帰ってきたというのはここだけの秘密です.


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