1月7日(金)から1月9日(日)まで2泊3日 行き先:東京・つくば方面 地学部ではSSHの支援のもと,冬合宿を敢行しました.今年は地学部員だけでなく、広く『科学のもりコース』の生徒にも呼び掛けて高1が9名、高2が3名 の総勢12名となりました。うち1名は北海道北見工業大学のサイエンスキャンプに参加したあと、本合宿に参加するというつわものでした。彼女は1日目のつ くばの夕食から合流しました。さて気になるその内容は 1月7日 東京大学地震研究所訪問(講義と見学) 講師:望月公廣先生(東大地震研究所准教授),上嶋誠先生(同,本校OB高20期),大木聖子先生(同 広報アウトリーチ室、助教) 1月8日 つくば北方の地層の地質巡検 講師:宮地良典先生(産業技術総合研究所主任研究官 本校OB高26期) 1月9日 産業技術総合研究所「地質博物館」での講義と見学 講師:昨日に引き続き宮地良典先生 です.いずれも今後の地学部の研究活動の参考になる内容ばかりでともて充実したものでした. それではまず1日目の東京大学地震研究所の訪問見学の報告です. |
新幹線でお昼前に東京についた私たちは、山手線と地下鉄を乗り継ぎ東大に到着。さっそく本郷キャンパスの
北端にある地震研究所に到着したときの正門での記念写真です. |
セミナー室に荷物を置かせていただいて、もっとも近い農学部の食堂で昼食を食べたあと、広いセミナー室で
午後の日程が始まりました。まず今回の訪問のおぜん立てをしていただいた、広報アウトリーチ室の大木助教の歓迎のあいさつと講義をしていただく講師の先生
の紹介です。 |
学術雑誌「サイエンス」にも掲載された望月公廣先生の研究の紹介をしていただきました。地震波の速度変化
から地中の様子を推定するため、海底に地震計を設置する取り組みをしているそうです。
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海山がプレートの下に沈み込む場所と、アスペリティ(大地震が発生しやすい場所)が一致しないことが分
かったのも、海底に設置した地震計の結果から分かったことです。 |
モニタに映っているのは、日本周辺の震源の3D分布図。図を回転させると浮かび上がるカラフルな立体映像
に一同は大興奮。 |
実物の地震計を見せてもらいました。一本一万円するリチウム電池が20本、その他にも高価な機器類をたく
さん内蔵しており、一台の値段は外国産の高級車に匹敵するとか。 |
水圧に耐えられるよう、球形になっている観測機。観測が終わると音波命令を受けて自動でおもり(茶色い 枠っぽいもの)を切り離し、海面に浮上するしくみです。 | 観測機は3種類あり、観測の目的や期間によって使い分けています。一番小さな地震計の中にはガラス球が
入っていて、その中に観測機器が詰まっています。 |
海底地震計と錨とを切り離す部分の説明中。地震計も、観測機の種類によって使い分けているそうです。 |
写真は一回り小さいガラス球の海底地震計に入れられる地震計のセンサー部分。粘性の高いシリコンを底に入
れることで、観測機が傾いても地震計は傾かないようになっています。 |
続いて、地震計博物会へ |
紙につけた煤を針で削る、初期の地震計。初期とはいえど甘く見ちゃいけません。精度は恐ろしく高いです。 |
2009年8月11日の駿河湾の地震の波形記録。初期微動も主要動もしっかり記録されています。驚きまし
た。 |
煤つけ部屋の中。灯油を燃やして記録用紙に煤をつけます。説明していただいているのは地震研究所の渡邉技術職員です。 |
煤は厚すぎても薄すぎてもダメ。ローラーを回しつつ均等に煤を付けるのは、長年の経験を要します。素人に
はとても真似できない・・・! |
せっかくとれた記録も、少し紙を擦れば煤が取れてしまうので,ニスにつけて大切に保管。 |
ちなみにニスは2度づけ禁止。串カツのようです(笑) 漬けた用紙は左側で吊るして乾かします。 |
記録中の用紙の様子。 小さな揺れもしっかり記録されているのが分かります |
室内には他にも、歴代の地震計がずらりと並んでいます。国内外問わず、さまざまな研究者が用いていたもの
らしいです. |
このあと,セミナー室にもどり,急遽駆けつけていただいた,本校の22期生である大先輩、上嶋誠先生にも
地球電磁気の講義をしていただきました。 |
講義の後、我々の研究「ちはやぶる逢坂の段 〜地磁気に魅せられて〜」の冊子を先生方にお渡しました。こ
れからもさらに精進して、色々な研究を続けていきたいと思います。 |
地震研究所を出るともうすっかり夜。 かの有名な安田講堂前で記念撮影をしました。 しかし辺りが暗すぎてピントが合わない… |
このあと,大学構内を出て根津の駅を探しながら徘徊して,ようやくつくばエキスプレスにたどりつき,つくばの宿舎に入りました.そういえば東大 農学部の食堂で偶然,顧問の先生たちは本校49期のD先輩に会ったとか.東京にも卒業生がおおぜいいることがわかりました.またこの日は望月先生はじめ, 上嶋先輩,地震研究所広報アウトリーチ室の大木さん,桑原さんに大変お世話になりました.どうもありがとうございました. |