2012年8月 IGC34 Brisbane(Australia)渡航記 新生代火山の巡検.2017.04/22 

 IGC34(万国地質会議)に参加して地元の火山の巡検に参加した.The Tweed Shield: Australia's Largest Cenozoic Volcanoという巡検である.8月11日にバスで出発した1日巡検の概要.
 以下巡検ガイドからこの地域の地質の概要:古い大陸であるオーストラリアには珍しく,東海岸には長さ3000kmにおよぶプレート内の若い火山列 (intra plate volcanic belt)がある.タスマニア海の開裂に伴う比較的若い火山活動が大陸の東海岸に列をなして点在する.70Maに始まるその主要な活動時期は55から 35Ma.しかしその後もアクティビティはごく最近まで記録されている.これは自分に取ってとても意外であった.あたりは楯状火山とを中心にした溶岩平野 とその中に点在する点在する中央火口火山帯であるが,その構造は複雑だという.また溶岩平野は飽和していない玄武岩質で,中央火口地帯は飽和したマフィッ クおよびフェルシックな溶岩と貫入から成る.我々が訪ねたのはその中ではもっとも大きな火山(であり侵食カルデラ,後述)であるTweed Shield Volcanoの北斜面である.この火山はWikiによると,Tweed Volcano is a partially eroded Early Miocene shield volcano located in northeastern New South Wales, which formed when this region of Australia passed over the East Australia hotspot around 23 million years ago.と書かれていて,侵食カルデラとしては南半球最大であるという.またガイドブックには侵食されたカルデラ底の中央には浅いマグマ溜りが露出する (我々が行かなかったMt.Warningのことらしい,これは地図ではまるで阿蘇山の中央火口丘のように見えるが古い侵食により露出したマグマ溜りらし い)と書かれている.そしてこの地域の火山列はホットスポット起源のもので南に下がるほど活動が若いと一応の解釈がなされている(つまりホットスポット源 に大してオーストラリア大陸は0.65km/Myrで北に動いた).ただHot Spot源は2つあるとも書かれる.またこの説明には議論も多いと書かれる.

これは毎度お馴染みの今回の学会でホテルの部屋をシェアしていた大学研究者のN氏.
ブリスベンから南に80kmほどのTweed Shield Volcanoの北斜面に到達(STOP1).流紋岩溶岩のすぐ下にある火砕流Fall Depositを見る.これややこしいのは全体としてマフィックな火山(楯状火山だから)なのに,後述するように玄武岩の上に流紋岩質の岩石が重なるのが この場所の特徴.
路肩の露頭
拡大はこんな感じ.いかにもタフという感じかな.
ここは層理もあって
礫が含まれているのがわかる.
さらにバスは外輪山地形を登って,降りて公園の中に入っていくと(STOP3)
ビューポイントに到着.
深い谷が刻まれ,高い滝がかかっていた.滝がかかっている上部層は白く流紋岩の溶岩(Springbrook Rhyolite),ところが
このように黒い玄武岩(Howbee Basalt)でできている.黒白2種の溶岩流が崖に見える貴重な場所.
全景がこれ.白い崖の上部と黒い谷底の対比が写真でわかるだろうか?
公園内の道の案内板
こちらはリサイクルトイレの標識
国立公園の標識を見て歩いていくと,
突然目の前に素晴らしい視界が広がる.
左に侵食カルデラの外輪山を構成するエスカープメント.
拡大するとこんな感じ.岩石はおそらく流紋岩溶岩.
その右前方に侵食カルデラの底が見えている.
あと来た道を戻って,
これも何だったか記憶にない.Air Navigation Facilityと書かれた看板の設備.電波中継塔みたいなものか.
再度流紋岩溶岩流の上に登ってピクニックサイトに到着(STOP4)例によって西洋風のお弁当.りんごとジュースがあるのは毎度おなじみ.
足元には分厚い溶岩流.
あと遊歩道を双子滝の方に降りてゆく.
Raunforestの看板とか,
苔むした岩盤とか
複雑な流理構造をみせる流紋岩溶岩.
これもそう.
こんな隙間に道が刻まれて
遊歩道上の位置を示す看板.
もうRainbow滝が近づいてきて,
近くの石はいわゆる松脂岩(perlite)という奴か.グラッシーな光沢.
マッシブな部分や
明らかにタフに角礫の混ざる部分など.
上がマッシブで下がルーズな感じ.
グラッシー(perlite salvage)な流理構造.
Twin Falls全景.流紋岩の溶岩を流れ落ちる.
滝をぐるりと回る遊歩道.溶岩流の下をくり抜いている?
こういう溶岩と赤茶けたfall?堆積物の境目もある.
burisbane市内の風景.ちょっと中之島近辺に似ている.
港には第2次大戦時の船の展示も.

宿から会場までは30分くらいかかって毎日歩いた.丘を超えてだらだら街の中心部までくだる道.学校や公園がある.道すがら不動産屋で住宅が売りに出てい たが,どれもとても高い.これほど土地が余っている国なのに東京くらいの価格がついている.地元の人に聞くとあきらかに不動産バブルだという.食べ物や ビールの値段も2000年のときのあきらかに倍以上していた.かつて物価がやすい国だったのに,今はイメージがまったく変わってしまった.


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