教材用「走時曲線」描画用 地震月報データからのデータ抽出スクリプト 備忘録(改訂版) 2010年4月21日
ちょっと知り合いの地学の先生から,走時曲線で,地殻とマントルの構造がわかりやすい,きれいな折れ曲がりのデータがないかと聞かれ探したけど,現行の
教科書等にある1986年長野県西部地震のデータをのぞくとあまりネット上では適当なものを見つけられなかった.そこで仕方なく作ってみた(Tさんのこん
なものでいいですか?).本ページに記載の図の元データは気象庁提供のものを使用しました.
データの元は「地震年報」
(気象庁作成,気象業務支援センター発行)CDROM(最近のものはDVDとなったがこれが1枚1万円を越す高さ.こんなの個人では買う人がいないと思う
けど,これでは一体何のためのデータ公開なのか?と大いに疑問)のなかから探す.Catalogの中のTable3が主な地震の観測点ごとのデータが入っ
たものなので,これの適当な地震のものから探す.
地殻とマントル境界での折れ曲がりを見ることから,浅い地震でなければならず,また地震波諸位相の読み取りが多いものでないとだめ.結局最近の日本列島
内
陸部等のM6クラス以上に絞って,いくつか走時曲線を描いてみた.なお,地震データ抽出のスクリプトは最下部に.各地点の観測データのうち,P波の読み取り精度がIPまたはPのもののみを抽出.縦軸は絶対時刻の秒,横軸は震央距離[km],青▲はP波到着,オレンジ◇はS波到着を示す.
新潟県中越沖地震(2007
年)
福岡県西方沖地震
(2005年)
能登半島地震(2007年)
この中では福岡県西方沖地震が折れ曲がりが顕著であるように見える.ただS波データの欠如が残念.最後の能登半島沖地震はやや深いのか,近い観測点の走時
が遅れて上方に凹となっている.
上記作図に用いたスクリプトは下記のとおり.実行属性をつけて実行する.入力データはinput.datで与え,出力はoutput.csvで出るのでこ
れを表計算ソフトで開くとよい.1行めはP波の読み取り精度のよいデータだけを抽出.2行めはそのデータの必要部分だけを書き出し.3行めはそれをカンマ
セパレーション(csv)に書き出している.
#!/bin/bash
# 地震月報データから走時曲線描画データを抽出
# input.dat -> output.dat
# 19.Apr.2010 by Y.Okamoto
awk '{ if ( substr($0,10,1) == "I" || substr($0,10,1) == "P")
print $0 } ' input.dat > test2.dat
awk '{ print substr($0,15,2), substr ($0,18,2), substr($0,21,5),
substr($0,38,2), substr($0,41,5), substr($0,94,5) } ' test2.dat
> test3.dat
awk '{ print substr($0,22,5) "," substr($0,1,2) "," substr ($0,4,2) ","
substr($0,7,5) "," substr($0,13,2) "," substr($0,16,5) } '
test3.dat > output.csv
<参考>
awkでこの地震年報(月報)データのような固定長データを扱う方法が下記にある.
従来のsubstrを使う方法
http://www.s.fpu.ac.jp/u-sano/awk1.html
FIELDWIDTHS
を使う方法
http://www.geocities.jp/cygnus_odile/awkpage/14_awk_fixed_length.html
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